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第9回シンポジウム


「AIとロボットがつくる未来社会と人材育成」開催

去る12月8日(土)に開催した、総合地域研究所シンポジウム2018「AIとロボットがつくる未来社会と人材育成~社会はどう変わり、何が課題か。大学の教育研究はどうあるべきか~」は、108名のご参加をいただき、盛況裡に終えることができました。講演くださいました古田博士、ご参加いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

基調講演「ロボット技術と未来社会」

基調講演される古田貴之氏

千葉工業大学 常任理事・未来ロボット技術研究センター
所長 古田貴之 博士


現在のロボット技術や、ロボットが未来社会に対してどのように貢献していけるのか、誰もが分かりやすいようにご講演いただきました。未来ロボット技術研究センターは、古田所長と17名の精鋭が企業等と協働し、事故後の福島原発建屋内で唯一働き続けている探査ロボット、車輪型・昆虫型・動物型に変形しながら走行・歩行するロボットなどを開発しましたが、モノづくりは「手段」であり、目指すは「住+移動」を中心とした「未来を創る」ことだそうです。最近発表された「CanguRo」は、人の表情を認識して変形し、パートナーとしても移動手段としても活躍をしてくれます。また、段差やコードなどを乗り越えつつ、リアルタイムで室内マップを作成して自動運転するロボット掃除機は、パナソニックとの協働開発品であることにも言及されました。「未来を創る」「想像力を掻き立て心を揺さぶる」「機能性だけでなくデザイン性も重視」など、数々の言葉が強く心に残り、「日本の未来は明るい」と実感できる講演でした。

報告「AIとは何か-得意なこと、苦手なこと」

敬愛大学国際学部 高橋和子教授

敬愛大学国際学部 高橋和子 教授

AIに関する最近の新聞報道を列挙し、AIで職業の半分が消えるとした研究とそれに対する批判を紹介しました。AIの歴史、自然言語処理、画像・音声認識、機械学習・ディープラーニング、ロボティクス、AIの得意・不得意などを解説し、未来への展望として「AIの可能性を過大も過小評価もせず正しく認識し、人手不足解消に活用しながら、人間は人間の得意分野に励むべき」と述べました。

「ロボット・AI時代の社会制度~流通を例として~」

敬愛大学経済学部 根本敏則教授

敬愛大学 経済学部 根本敏則 教授

流通・ロジスティクス分野でのAIおよびロボットの活用事例について、実用化の進む中国視察の様子を交えて紹介しました。さまざまな事例に共通してデータが重要なことを示し、ビッグデータ活用のメリットの一方、就業者の減少や情報の独占、個人情報保護などに対する社会制度の対応が課題となっていると述べました。

「AI社会の課題-ベーシックインカムと社会保障」

敬愛大学経済学部 星真実教授

敬愛大学経済学部 教授 星真実 氏

1980年代以降の技術革新によって仕事量が減少した際、日本では人数を削減し、ドイツ・オランダでは労働時間を削減しました。そもそも8時間労働が普遍的ではないこと、ベーシックインカムの議論は前提も構想も時期尚早なこと、ハリーポッターの作者の執筆を支えたイギリスの公的扶助や、出生率を向上させたフランスの家族給付の制度を参考にする余地があることを指摘しました。そして、AIを少子高齢化の課題克服に役立て、人間とAIの協働によって豊かな社会を築けるのではないかと述べました。

パネルディスカッション

コーディネーターを務めた藪内正樹教授

社会制度の課題について、古田博士はベーシックインカムは反対としつつ、制度を決める政治は一択だが社会には多様性が必要とコメントされました。また、人材育成について「未来を創るのは子どもたち。そのため200余りの小学校を訪問してきた」「才能は育てられない。見出すのみ」と話されました。ここで大阪での会合のため退場された古田博士に、満場の拍手が起こりました。
続いて経済学部の森島隆晴教授(情報学)より、AI社会ではデータが重要であり、素養を育てるため準備中の「データサイエンス副専攻」について紹介がありました。

三幣利夫学長による閉会挨拶

経済学部の彌島康朗特任教授(キャリア教育)からは、知識やAIを活用することができ、自ら成長し続ける人材を育てるための様々な工夫について紹介がありました。
その後、コーディネーターを務めた藪内正樹総合地域研究所長から、敬愛大学としても未来社会について正しく認識し、AIやロボットを使いこなしながら人間にしかできない役割を果たすことのできる人材を育成し、古田博士率いるfuRoとともに「未来を共創」していきたいと総括しました。
最後に三幣利夫学長より謝辞と閉会の挨拶を述べ、シンポジウムは終了となりました。現在ではなく未来へ目を向けられる、良い機会となりました。