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2011年度 第8回 総合電機業界(通算8回)

株式会社日立製作所 出身 北 好雄 様

大学卒業後、㈱日立製作所 家庭電化事業部 へ入社
常にお客様のニーズを追い求め、様々な家庭電化製品の開発に携わり、
家庭電化事業部・総合戦略企画部 部長、家電業務推進本部長に就任。
現在は人材派遣会社にて営業総本部 顧問を務める。

~ モノつくりの基本戦略 商品の販売戦略 私の経験実態 ~

皆さんこんにちは。今ご紹介いただきました、私は 北 好雄 といいます。株式会社日立製作所に入社しまして、40年間、ずっと日立製作所の中でお仕事してきています。自分で実践してきている、全部本音の実践談をベースにして、お話したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

どのようにして新製品をつくっているのか?

皆さん方も一番よくお使いになっていると思いますが、家庭電化品で品物を作るときには、まず一番困っていることを解決してあげたものを作る。これが基本なんです。われわれの言葉で言うと、ニーズ。Need。何が必要なんだと。本当に困っているのは何だろうかと。
ニーズを探すために、NHKの調査で主婦に「食事で何に一番時間がかかっているか」の回答が「電気釜のお掃除」。当時はご飯が釜の中にこびりついて大変だったんです。本当に米って熱をかけてくっついたら取れないんです。お米をはずす、このこびりつきにものすごい時間がかかっていると言っているんですよ。それで、こびりつかない電気釜、炊飯器を作ろうと。
「キタ、世界一、日本一の電気釜を作れ!」という命題を受けて、必死で作り出すためにやっていくわけです。こびりつかないようにするには、どうしたらいいかなと。
テフロン加工って知ってますか?イオンフッ化エチレン。要するに、フッ素でテフロンというのを使えば、こびりつかない。海外のテフロンというのはものすごくきれいに、こびりつきが取れるので、絶対にこびりつかない電気釜を作ろうと思って、われわれは商品計画するんです。
テフロンという色知ってますか?実は茶色なんです。チョコレート色なんです…いい言葉で言えば。機能から言ったら、日本一の釜を作るのなら、テフロンが一番最適ですと言って提案したけど、「そういう色が汚い、食べるものに合わない」と言って怒られて。「2週間後に考えて、もう一度品物を作り出せ」

会社は命令ですよ。給料いただいて仕事しているわけですから、会社のためにやらないといけませんから。同等のもので、こびりつかないものがあるのかなという事を調べるんです。それから、フライパンにテフロンのついた茶色い、汚いと言われた色のフライパンが、どれくらい出ているかなどをいろいろ調査した中で出てきたんですが、年間600万台も売れているんです。600万台ということは、世の中で認可されているということ。
1年間でそれだけ売れている。ということは、テフロンの茶色いので、いろんな料理をするときに、卵焼いたり、食べ物を、野菜なんかをいためたりするときに、それだけたくさん使われているから、汚い色だなんて言っているのは古いんですよと。やっぱり世の中は、そういうのが通用しているんですよと。理屈をもって、ちゃんと見せていけば通ると思って、2週間後に我々は行ったんです。

きれいなお釜を布に包んで会議のときにみんなの前で見せて議論して作っていくんですが、「きれいなのできたか?開けろ」と言われて、これでございますって。ほとんど変えてない、茶色いの。
「君、何を考えているんだ!」と怒るんです。いやいや、説明を聞いてくださいと。それで設計者が、世の中これだけ売れて、これだけ認可を受けていますと。世の中認められているんだから、日本一の便利なお釜を作ってくださいと言われたんだから、みんな一番こびりつきが困っているというデータが出ているんだから、絶対にこれを作るべきですと。われわれは、信念として、絶対にどこにも負けない日立が、そういう炊飯器作るなら、これをやるべきです。といって、しっかり説明していけば、反論ができなくなるんですよ。
会社でいくらえらい人でも。やっぱり世の中真理はひとつなんです。上の人の顔色を見て、上の人がこれだめだと言っているからじゃあ赤色塗るか、白色塗るか、といって塗っていたら、これは品物出しても負けてしまう。必ず、やっぱりこれは便利と言ってもらうためには、自分たちが一生懸命調べて、一生懸命作って、一生懸命誰が見ても納得するものを調べ上げて、決めていけば、かなりうまくいくと。
そうして、結論だけ言うと、それが、120%を達成したんです。それが、テフロンの電気釜。本当に日本で始めて日立が出したんです。われわれのチームで。ここはよく覚えておいてください。本当に何が望まれているかということをまず調べる。これがものづくりの基本なんです。

家電品の販売戦略とは

この次に商品販売の戦略。ブライダルの商品を作るときのニーズ、何が必要かというのを調べるのに、まず結婚するときに家庭電器品の決定権の7割は女性が決めるんですよ。洗濯機、炊飯器、掃除機、最近は女性の意見で決めるので、デザインは何が大事かなと。
日立はデザインが悪いとその当時は言われていたんです。野暮ったいとか。よし!と思って、プロのデザイナーにお願いして、「世界流行色協会はこのような色で予測しています。日本流行色協会はこのように予測しています。ブライダル商品は若い女性の方々に決定権があるから、女性に好まれる最近の一番のブライダルデザイナーは桂由美さんですと。
これは全部デザイナーを150人くらい調べ上げて、結婚に詳しい人をピックアップして、そして決めているんです。」どこから何を言われても、理屈でちゃんと回答できるように。そうして、桂由美さんにデザインしてもらって、桂由美さんの考えられた、これからの流行の日立のブライダル商品です、と言って売り出したんです。

ブライダルというのもどこへ売り出すかというのは、販売するときに調べるんです。そうしたら、名古屋。家庭電器品で、日本の平均は70万円くらい買うんです。名古屋は、110万円くらい買うんです。すごいんです。したがって、販売戦略打つときも、まず名古屋へどんと打ち出すんです。名古屋の立派なホテルに販売する女性300名、しかも有力な販売店だけを集めると。それから徹底させるために、販売会社の社長も全部集めて、一挙に説明を始めるわけです。
何のためにこの商品を作って、誰を対象に売って、そして、世の中の動きに合わせたものを、ものづくりとしてやっていますよという形で、これを全国一挙に120箇所くらいでやるんです。売り出す前に。

この後、貴重な時間を取って来ていただいているのに対して、お礼の形も含めて、桂由美さんのブライダルファッションショーを皆さんに堪能して頂き、夜は懇親会でダンスパーティーもあります。要するに女性と食事をしたり、ダンスをしたり、そのときに日立の電気釜大丈夫ですか?とか、色は合ってる?とか、お客さんからクレームない?とか会では聞けない内容をものすごい聞いて回ります。これが大事なんです。販売店の方にいろいろ意見を聞いて実際は営業が本当に成功しているかどうかをチェックしているんです。
次に商品計画やっていく時に、ここでだめだと言われたところをみんな拾い上げてきて、もういっぺんよく調べ上げて、そして次の商品計画のときに使っていく。そういうことが結果的には、生きがい、仕事のやりがい、本当に実感として出ます。

人生は努力次第でどんどん成長する

成功例として話していますが、就職するときもそうなんです。
とにかくそこの入った仕事で一生懸命やって成功させたら、非常にうれしく思う。
ところが、日本の中にはいろんな会社があります。いい会社もある。大変な会社もある。
それは、私が商品企画の時に、ニーズ、何が一番必要かなというのを調べたのと同じように、あなた方が、就職するときに、自分の望んでいる会社は、本当に自分の望んでいるいい会社かどうか、というのを調べないとだめなんです。

そうして、そこへ行って仕事する。だからみんながんばらないとだめです。
同じことを日立製作所の中では、言ってきました。日立へ入れば、人の前で日立製作所と言えるようになってくれと。競争激しいですよ。
私の入ったときの、大学卒の新入社員は、1108名いるんですよ。同期生。その中で、競争していくんです。会社入ってどうしていいものを作っていくか。ものすごい競争しますよ。それで世の中に役に立つ事を一生懸命やっていけて、初めて「喜び」を感じるんです。

それから失敗談、ひとつだけ話させてください。
ガステーブル知っているでしょう?真ん中の魚焼くグリルが、魚3匹~4匹くらい焼けるのが普通ですが、いろいろ調査して万能調理器が必要だというニーズが出てきたので、秋刀魚が5匹焼ける大きなオーブン機能の万能調理器を作ったんです。なぜ5匹にしたかとういと、平均5人家族。秋刀魚焼くときに5人同時に暖かいのがすぐ焼ける。ガスバーナーをひっくり返して、上向きにしたらやかんも置けます。いつでも沸かせる、オーブントースターにもできる、クッキーもできますと。

そして市場調査したわけ。こんな商品どうですかと。みんなOKなんです。会社も認可が下りたわけです。
結論、最初に2万台作ってあっという間でほとんど売れたんです。
そして追加生産したら、ほとんど売れない。何でだと思います?教えて欲しい、と当時思いました。

ところが主婦はすごい。まずもったいない。
毎日毎日5匹なんて焼きません。魚焼くときは2匹のときもある。ご主人遅いから3匹のときもある。
二つ目、魚を焼いたところで、ケーキなんか作ってごらん。臭くて食べられないと。何を考えているんだと。
三つ目、熱量はものすごく強いけど、やっぱり膨大な費用がかかる。不経済。

これを失敗して以来、エアコンとかの商品を次々つくっていくわけですけど、本当に真剣に調べるようになりました。

学生は将来の希望がいっぱいある

同じようにあなた方が就職しようと思う会社に対して、思い込みじゃなくて、いろんな人に聞いてよく勉強する。これが大事なんだよ。
あなた方、これからバラ色ですよ。横から見たら茨の道ですよ。そんな簡単に世間はうけません。
したがって、本当は何が大事かな、本当は自分には何が大事かなといって、就職するときには考えてほしい。

失敗したときに次、失敗を繰り返さないようにしていくというのが、実はその人の人格を高めていったり、粘り強さを持ったり、古いですけど根性とか忍耐というものが、結果的には絶対に重要であると、こう思っています。
それが、私が仕事を通じて今までやってきたところでの、経験談ですね。ぜひここのお話が、またひょっとした何かに役に立ったらと思います。


>>業界研究 第9回 流通・小売