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2012年度 第12回 航空業界(通算26回)

北林 克比古 様

1946年生まれ
1970年 一橋大学卒、全日空入社
1986年より主に国際線事業に従事
2006年 専務取締役 国際業務室、アライアンス室、IT推進室担当
2007年 ANAセールス 取締役会長

~ ツーリズムと航空ビジネス ~

航空産業

・先ず航空産業の特性についてみてみましょう。
 航空産業は華やかなイメージとは裏腹に様々な課題を抱えています。
①事業構造がきわめて硬直的です。
 航空機や地上作業専用車、予約など多岐にわたるコンピューターシステムへ巨額な設備投資が必要で、装置産業  といえます。
②商品の在庫が出来ません
 フライトという形で時刻表どおり即消費されます。
 需要の周期性と季節性が高く、年間を通じてお客様が移動する時期は決まっています。
③事業が外的要因に左右されます。
 空港などインフラに大きく左右され、羽田空港のような混雑空港では航空会社が自由に増便できません。
 戦争、インフルエンザなど、経済、自然災害により航空需要は大きく影響を受けます。

・世界の航空会社についてみてみます。
 世界には約1,000社の航空会社があり、2010年には全世界で約23億人のお客様を運んでいます。
欧米の主要航空会社のほかに最近ではLCC(ローコストキャリアー)の躍進が目覚ましく、中国の航空会社も急成長を見せ ています。

・我が国の航空需要について(国内線)
 国内航空はこれまで日本経済の成長に沿って順調に需要を拡大してきましたがここ10年ぐらい景気の後退や人口の伸びが止まって需要は9千万人で頭打ちになっています。23年は震災の影響もあり7,905万人に減少しました。将来的には新幹線網 の整備や少子高齢化により国内航空は更に影響を受けると予想されます。

・我が国の航空需要について(国際線)
 国際線は国内線以上に外的要因の影響を受けますが日本経済のグローバル化により大きな成長が期待される分野で、特に訪日外国人の取り込みが重要です。

・世界の航空需要
 IATA(国際航空運送協会)は2016年に世界の航空需要が36億に達すると予測しています。
需要増の約半分をアジア・太平洋地域が生み出すとしています。

・グローバルアライアンス(国際航空連合)
 経済のグローバル化、消費者ニーズの多様化にこたえるため世界規模の航空連合が形成され、スターアライアンス、ワンワールド、スカイチームの3グループに結集し、今やアライアンス間での競争の時代に入っています。

ツーリズムについて

・〝ツーリズム″は観光とほぼ同義語として使われますが実際には観光以上に幅広い意味を持っています。休暇旅行、友人、親戚訪問、業務旅行、展示会、保養、宗教など全てがツーリズムに当たります。

・ツーリズムに関連する産業は裾野が広く、航空会社、鉄道、バス、客船、フェリー、ホテル、旅館、レストラン、土産物屋、美術館、博物館、等に加え農業、林業、漁業などの地場産業も関連します。

・平成20年度に旅行に使われたお金は23.6兆円で、これにより最終的に日本国内で波及して消費される、その生産波及効果は51.4兆円で国内総生産の5.3%を占めています。またその雇用誘発効果は全国で430万人で、全就業者数の6.7%と大きな雇用規模になっています。

・観光は「見えない輸出」と言われています。訪日外国人を受け入れることは、物を作り輸出して外貨を稼ぐ代わりに、外人観光客に来てもらい外貨を使ってもらうので、外貨を得る点は共通だからです。

・2010年に海外に出国した日本人が1664万人であったのに対し、訪日した外国人の数は861万人とアンバランスな状態にあります。こうした観点から国は観光立国を推進するため2006年に「観光立国指推進基本法」を制定し、2008年には観光庁を設立し、官民を挙げて観光立国の実現に取り組んでいます。

・観光庁、は「年間訪日外国人3000万人」を将来の最終目的に掲げています。世界のグローバル化の進展により今後も日本と海外との人や物の交流は伸びていくと考えられています。また日本経済にとっても人口の減少、少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、地方を含めた経済発展を進めるためには地域の人々がその観光資源を主的に開発し地域の活性化に努めることが重要です。
四方を海に囲まれた日本にとって、訪日外国人の94.3%が航空機を利用して入国しており、日本の将来に取りツーリズムと航空産業が順調に発展していくことはとても重要です。

航空会社での仕事

新入社員で配属されたのは経理部の収入管理課という部署で、最初の仕事は空港で回収された航空券を数えることでした。高度成長期で増え続ける数に圧倒される日々が続きました。
当時は今日のようにシステムが発達しておらずお客様の95%が旅行代理店の店頭に行って航空券を購入していました。今では7割近いお客様がインターネットもしくは携帯で予約、購入をされ、航空券を持たないままチェックイン、搭乗をされるようになりました、この変化は航空のみならずツーリズム全体に起こった大きな変化と言えます。

入社の翌年の7月、自衛隊機に接触され千歳~羽田便が墜落するという衝撃的な事故が起こりました。夏の繁忙期にも拘わらず、それまで数えきれなかった航空券の数が激減し会社が存続出来るのかという不安に襲われたことを鮮明に覚えています。
航空会社にとって最も重要なのが安全であると再確認させられた出来事でした。
おかげさまでその後一度も事故の発生を見ずに今日を迎えることができました。

1986年ANAが国際線に進出してからは一貫して国際線関連業務に従事しました、
後発企業として多くのハンディを負っていたため、事業として成り立つようになるまでに十数年の年月と多くの試行錯誤を要しました。以前は国内線専門の会社であったため対象となるのは国内マーケットであり、競争相手も国内航空会社でした。
国際線進出後はマーケットは全世界となり、世界中の航空会社が競争相手になりました。
今振り返ると重要だったのは、やはりグローバルな視点だと思います。

このことは我が国がグローバル経済の進んだ世界で競争力を維持、向上してゆくために、航空業界のみならず、あらゆる分野に共通する点だと思います。

40年にわたる会社生活での経験から皆さんにアドバイスするとすれば、当然のことながら企業はみなさんの為に仕事を用意するのではなくて、企業目的達成の為にみなさんを採用します。従って必ずしもみなさんの気に入った職場、仕事につけるとは限りません。不本意な職場に配属された時こそが大切です。ここで前向きに努力するか、クッサってしまうかで大きな分かれ道になるのを何度か見てきました。

誰にも何度かチャンスが訪れますが、うまくそれを掴めるか、気づかずに逃してしまうかの分かれ道は、仕事に対する好奇心と問題意識を持ち続けるかどうかにかかっています。みなさんのご健闘を期待します。


>>2012業界研究 第12回 損害保険