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2012年度 第6回 出版業界(通算20回)

幸脇一英(さいのわき かずひで)様

大学卒業後出版業・講談社一筋40年:販売促進局長・雑誌局長・講談社取締役&講談社インター専務=アメリカ&ヨーロッパ筆頭副社長。再販活動では全政党、官庁・公取、学者達と折衝。国連・平和大学院(日本財団奨学生)卒業、国際ボランティア経験後、社会貢献を目的とするディレクターフォース・DF運営委員、日本力行会支援やまち創りに従事。

“好きなら、思い切って出版業で汗流しませんか?”

出版業とは

忘れられないお母さんの“読み聞かせ”から大学を卒業するまで毎日触れてきた、身の回りに空気のように存在する、雑誌や本を作り、読者に販売する仕事です。新聞やテレビ同様に、「面白い!」、「役に立ちそう?」と感じると、読んだり、見たり、(図書館で)借りたり・買ったりする(主に)本を創る会社が出版社です。
チョット違うのは、自動車でいえば「もっと速い車」とか「燃費の良い車」などのように、お客(読者)から具体的な声(ニーズ)が来ないけれど、毎日新しい製品(本)を創り続けることと、出版社には本を製造する印刷や製本など目に見える工場がないことです。編集者は、世界の多岐多様な生活の中から発見した情報を選び、組み合わせなどして、雑誌の記事・特集作りや、本の原稿入手に、汗流して、苦しみ、楽しみながら考えだします。だから、編集部が出版社の工場と考えると分かり易いと思います。

出版業で働きませんか?

製紙会社や印刷・製本会社などに資材や製造で、広告代理店や新聞・テレビ会社などに広告主探しや宣伝で力を借りますが、ここでは、出版流通:出版―取り次ぎ(問屋・販売会社)―小売(書店ほか)の範囲で考えたいと思います。仕事を決めて働くことを就職といい就社とは言いませんね?それなのに個別の会社やその業界が知りたくなるので、出版界と出版社について、チョットお伝えします。

出版界のビジネス規模は2011年の売上総額は1兆8千億円です。日本のトップ58位企業の電通一社の売り上げとほぼ同じ額です。出版社は4千社弱で、各社別の売り上げも集英社、講談社や小学館の1,200億円前後、その従業員数も学研や講談社の1,000名(=大企業規準)前後が最大で10名弱の零細組織も少なくありません。業界も企業としての出版社も経済規模としては小さいです。しかし、経済面は成功すれば儲け(付加価値)も大きい点も特徴でしょう。手元にあるH14年の法人申告所得ランキングで見ると集英社(資本金1億80万円、従業員727名)は71,999社中の353位です。
大きく見える新聞業界も民間テレビ業界も2兆円弱と2兆円余(「図説日本のメディア」-NHK出版)と出版業界売り上げとほぼ同額である。出版社は、多額な資本・資本財が不要のため、NHKと全国紙を除けば、資本金や従業員数などの規模もやや下回るか同類と見て良いと思います。新聞・テレビ・出版の3メディア合計の最大売り上げは約7兆5千億としても企業売上ランク第6位の本田技研の11年度売り上げにもかないません。

仕事の選択には、給与を含めて経済性と継続&安定性などの条件が重要ですが、マスコミ産業の使命や働き甲斐はこの様な条件だけでないと断言したいです!
メディア、特に、出版業は“好きか、働く意義や情熱を感じるか”が全てだと思います。好きな理由の正解は無いでしょう。千差万別だと思います。この雑多の関心と個性と能力がゴチャマゼに成って新しい創造物が出来上がる筈です。この世界で働く者の苦労と面白さの一つがここからも生まれるのでしょう!

出版社の組織と職種

始めに申し上げましたが出版社は主に本という出版物を製造販売する会社ですから、普通の会社と同じで、創造物を作り出す工場の役割を果たすのが編集部門、製造管理と販売管理を担当する営業部門とお金と社員を担当する管理部門の3部門が有ります。今回はスペースも不足ですし、目的も異なるので、販売部門の仕事だけに絞ります。
営業部門には、紙などの資材調達、企画の可能性を判断する事前原価計算や企画を活かす印刷・製本の外注・生産管理を担当する業務・制作部、編集企画の商品化(多く売れるように考え提案)・完成前の企画を想定理解し、変化する市場情報を基に製造部数決定・取次(=販売会社)への納品・配本部数決定・編集部の売り上げ確保&利益管理する販売部、本を売り延ばすために販売会社の書店担当部門や書店対象に販売促進を図る販売促進部、新聞・テレビ会社や電通・博報堂などの広告代理店と連携して宣伝スペースの確保と宣伝原稿&宣伝物の作成や各種催事を担当する宣伝部、と雑誌の低価格実現と利益の為、雑誌に宣伝して頂くための会社、広告代理店訪問やその宣伝原稿を管理する広告部があります。
社会全体や出版に関心ある方は、日本の出版界発展に大貢献した日本独特の出版流通の特徴:①『再販売価格維持制度』⇔(相互関係で機能)⇔ ②『委託販売制度』と③全出版社の出版物=雑誌と書籍の両方を同一取次で取り扱う流通システムを調べ理解してください。

具体的には原価計算、販売部数決定、宣伝・宣伝案など基本的な形はありますが、案を創り上げるのも、案を実現するのも、製造・販売・宣伝・集広してくれる外部企業に、仲間の様な応援を貰うために、自分の能力や人間性など全ての魅力・人間力が求められます。ここに合理性だけで動かない難しさと楽しさが生まれます。社内の同一目的達成を目指す関連部署間の連携も個人相互の異論と案を戦わせて新しい総合案を生むことから始まります。正に大量生産の効率志向から生まれる組織の一部品や一ロボットと違うところです。この慣れない仲間との戦い=創案の苦しみ、喜びや自分の存在感を先ず感じる筈です!

突如決まった職業選択

私は親の仕事・外交の仕事に就くことを子供の頃から期待され&求められていました。“男なら社会の為、世界の為!”と言われ続けた長男としての宿命でした。就職戦線直前の3カ月間を「日比親善学生大使」として初めての外国訪問。太平洋戦争でマカーサーが“I shall return.”の言を残し敗走した地=日本人・比国人・アメリカ人の血で真っ赤に染まった海、故に、名付けられたレッドビーチで、大変好意的で、御世話に成った学生リーダーから“私は、日本人は嫌いだ”だけど、“日本の経済力について行かざる得ない私達の気持ちを忘れないで!”と別れ間際に打ち明けられた。
ガーン!ガガ~ン!!親善の前に、事実認識と相互理解のためにとマスコミを志向。担当教授ほか殆どの人に、突然の志望では合格する訳がないと猛反対される。自分自身の大衆思考・テレビの内定を止め、尊敬した柳田TBS 役員の薦め“(TVはキー局でもローカル)君は世界相手の講談社が良い”に従う。
本当に楽しい、仲間にも恵まれた仕事でした!40年では短い、もっと続けたい気持ちです。

電通の萱場部長の進言“南米のサッカー選手も漫画の本を楽しそうに見ているよ!”から始まったコミックでなく漫画の世界拡大、文化勲章に繋がる瀬戸内「源氏物語」普及活動で瀬戸内寂聴さんの天才、自由奔放さや細やかな心遣いなどに触れた。“ちばてつや”のテニス大会での3位入賞、大平光代弁護士の澄み渡る眼、挨拶にも困った毎年のミスマガジン嬢たち、Friday休刊提言=大物政治家による私的親書、苦学のMBA米国留学、日本語を中心とする日本文化理解&振興を求めた世界飛び回りなど感動的体験は列挙しきれません。
お陰様で世界6大陸に20歳台の若者から先輩方までの親しい友人も出来ました!

将来性のある仕事は?

残念ながら私には分かりません。出版界の課題は15年間連続の売上げ減に尽きるでしょう!
しかし、新聞・テレビ・本が無い生活は考えられますか?静かなマグマや津波の如き誰にも止められない動き・激変に対応できていないだけではないでしょうか?

日本経済も社会も「失われた20年」の解決が出来ないだけでなく’89年以来職場も減り続けています!私は近代日本の3大変革期:明治維新・戦後・現在と考えます。偏見かもしれませんが、「業として栄枯衰退はあるでしょうが、人が、社会が必要とするものは決して絶えません」し、「経済不況期の参入は何事も難しいですが、ミクロ視点・個としての出版業選択&起業の絶好のチャンス」と独断致します。漫画は紙媒体の爆発現象ですが、電子出版もメディア・媒体増という好機です。その可能性を活かせるのは使いこなせる若者世代なのです!

だから今こそ、生活の糧だけでなく、自分で生きているという個人の尊厳にかかわる仕事が一番重要です!真摯に仕事探しにチャレンジしてほしいです!今後は50年働き続ける時代でしょう。自分の希望を持続すれば実現する可能性は高い筈です。皆さんの知っている幻冬舎も見城さんの実績と人脈があったからですが、あっという間に注目される出版社に成りました。安定性に欠けますが起業もお金稼ぎの可能性も高い、社会的な意味が有る仕事です。いつでもお声が掛かれば、“老兵は死なず”でお手伝いに参上しますよ(^_-)-☆
この様な学生思いの・職業を本質的に捉える、大学で学べる皆様はラッキーと感じました!


>>2012業界研究 第6回 食品問屋