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2012年度 第4回 広告業界(通算18回)

中條俊美 様

1972~ 日本マーケティング教育センター共同経営。マーケティング・リサーチのエキスパートとして得意先の開拓・コンサルに従事
1979~ 東急エージェンシー・インターナショナル(現フロンテッジ)に入社。新規得意先開拓に従事
1990~ マッキャンエリクソン博報堂に入社。日本市場での新規得意先開拓(同社にとってはそれが国際化推進)に従事
2000~ ジェイアール東日本企画に入社。同社の基盤強化および得意先拡大に従事
2009~ 東京都中小企業振興公社ビジネスナビゲーターとして中小企業育成に従事

「日本の広告と広告業界」

「広告」とは何か?

広告は、広告の送り手である企業にとっては商品の売上げを伸ばすための一番の武器だし、広告の受け手である消費者にとっては商品に関する情報を入手するための一番の手段です。
広告は消費者の心に働きかけるものです。だから、広告は企業が売上げを伸ばすために行なうものですが、その目的目標あるいは広告効果は、売上げがどれだけ伸びたかとは別に、どれだけの人に見られたか、見た人がどう思ったかなどの独自の指標で測ります。

その広告はどのようにしてつくられ、皆さんのところに届くのでしょうか?
一般的には、まず広告を出したい企業が広告会社に声を掛け、自分たちの状況や考えを説明する説明会(=オリエンテーション)を開きます。
広告会社は、自分たちでも調査研究をしてベストな広告計画をつくり、企業に提案します(=プレゼンテーション)。幾つかの広告会社に声を掛けるとコンペティション(競争)になります。
広告計画を提案して、企業が「それで行きましょう」となったら、実際の広告を制作し、広告を乗っけてくれるメディアに注文を出し、プロモーション活動やイベントなどの準備をします。
そして、予定された時期が来ると計画通りに広告を出稿し、また、プロモーション活動やイベントを実施します。

広告計画は、フルパッケージなら、広告基本戦略、表現計画、メディア計画、プロモーション計画、ソーシャル・マーケティング計画の五つで構成されます。
最近はソーシャル・マーケティング計画も必ず含まれるようになって来ました。
それぞれを簡単に説明すると、広告基本戦略とは、「こういうチャンス/課題があるから、こういう人たちをターゲットに、こういうことを伝えて、こういう望ましい方向を目指す」という、提案する広告計画の基本的な考え方。表現計画とは、「ビジュアルやコピーなどの広告の具体的表現案」。メディア計画とは「広告を乗っけてくれるテレビやラジオ、新聞や雑誌などをどう組み合わせるかの計画」。プロモーション計画とは、「テレビやラジオ、新聞や雑誌に広告を出すこと以外に、売上げを伸ばすためにおこなう活動の計画」。
ソーシャル・マーケティング計画とは、「インターネットやケータイを広告媒体としてつかっていく計画」のことです。

広告作業は「小集団活動」

広告計画をつくる作業は、広告会社のそれぞれを担当している部門からそれぞれスペシャリストを出して、小さなチームをつくって行ないます。そして、その外側に多くの協力会社やフリーの協力者がいます。
だから、実際に作業をおこなう時には、小さな広告会社も大きな広告会社もあまり差がなくなるので、小さな広告会社でも十分に競争していけます。
また、チームの中では、バカに意見でも実現しそうに無い意見でも、頭から否定しないで一緒に考えてみるという独特な考え方をします。これは、広告というのは目立つために、他にないし今までに無いという型破りなビッグ・アイディアを作り出さなければならないからで、私はこれをアイディア育成思考と呼んでいます。

目立ちながら、伝える

広告は、なんとしても目立たなければなりません。というのは、私たちを取り巻く情報過多社会では、一人ひとりの情報処理能力を何百倍も超えた情報が洪水のごとく押し寄せています。広告だけでも、例えば関東エリアでは一日にざっとテレビ広告7000本(3時間分)、主要5紙だけで新聞広告1000段(100ページ分)が発信されているといわれています。広告は目立たなければこの洪水の中に沈んでしまいます。
広告は、また、消費者の心に届かなければなりません。というのは、私たちを取り巻くモノ余り社会では、消費者は商品の思いもよらない選び方をしています。モノ余りだし、商品同士の差はほとんどないし、消費者の価値観やライフスタイルは多様化する一方です。だから、商品の性能品質より付加価値や情緒価値のほうに注意が行くし、自分の生活に中でどんな満足や価値を与えてくれるかが大事になる。広告はそうした今の消費者の心のツボ(消費者インサイト)に届くものでなければなりません。

広告の転機と新しい取り組み

日本全体の広告費は2011年度で5兆7096億円で、実は2008年から四年連続で前年より減少しています。内訳を見ると、ソーシャル・メディアやBS・CSは急増しているのですが、 テレビ・新聞・雑誌・ラジオというこれまで中心であったいわゆるマスメディアが減っているので、その影響は深刻です。
そういう状態だから広告業界の先行きは暗いのではと心配する人もいますが、私は大丈夫だと思っています。というのは、このところは不景気だし、大震災・原発事故があったからしょうがありませんが、日本はアメリカと比較してみると全体規模で1/5、一人当たり1/3、GDP比2/3に過ぎず、まだまだ伸びしろは十分にあるからです。

ただ、ここにきて若い人を中心にいわゆるマスコミ離れ、つまり、テレビ離れ、新聞離れ、雑誌離れが進んでいます。また、新しいメディアが増えている中で、マスメディアが従来持っていた独占的な地位は揺らいでいます。だから、今までと違って、マス広告をやればそれでいいという状況では無くなって来ているのは事実です。
そこで、広告業界では今、次の四つのことが取り組まれています。

・ 広告表現の高度化:消費者インサイトを深堀してより消費者に届く広告表現づくりを進める
・ ソーシャル・マーケティング:新しいメディアであるインターネットやケータイをもっとうまく活用する
・ コンタクトポイント・マネジメント:マスメディアが見られなくなっているなら、消費者が普段の生活のなかで動くところまで出かけていって、そこで広告をしよう。そういう接点を見つけ/作り出す
・ 収益構造の見直し:広告会社の収益はテレビ・新聞・雑誌・ラジオのいわゆるマスメディアがほとんどであったが、もっと多様化をはかる

その意味するところは、従来の「とにかくマスメディアありき」の考えかたを改めて、消費者の意識や行動をもっとよく知って、広告あるいは広くコミュニケーションを消費者の現実にもっとよりそったものにデザインしなおすということです。そうすることのなかで、逆に、いわゆるマスメディアもその役割も再認識されるだろうと思っています。
>>2012業界研究 第5回 出版