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2012年度 第2回 医薬品業界(通算16回)

木村 薫 様

慶應大学経済学部卒業。山之内製薬株式会社(現アステラス製薬)に入社後、一貫してジェネラル部門(IT、経営企画、財務、経理、人事、M&Aなど)を担当。
支店業務室長時代は、仙台支店を立て直し全国一に導いた。
また、欧米企業を対象に買収し、買収した企業の経営に参画して山之内製薬のグローバル化を推し進めた。

薬は生活の伴走者

文化系学部の皆さんは、医薬品業界と言うと自分には関係のない業界、薬学部とか 理工系の出身が行くところと誤解されているようです。実際は私と同じように文化系の学部出身者が営業職を始めたくさん活躍しています。私の話を聞いて理解を深め興味を持っていただけたら大変うれしく思います。
実はもっとがっかりするのは医薬品業界を知らない人がたくさんいることです。
医薬品業界の会社が販売する商品はみなさんおわかりの通り”くすり(薬)”です。お薬は私たちの生活には無くてはならないものですし、最も身近にあるものだけにかえって空気と同じように意識することが薄いのかもしれません。皆さんは若い世代ですから、お薬を飲む機会が少ないことも原因かもしれませんね。しかし皆さんがオギャーと生まれたときにはお薬が使われたでしょうし、胃薬とか頭痛薬とか何種類かのお薬が常備薬として家庭の引き出しの中に入っていると思います。振り返ってみると身の回りにあり本当に大事な物を提供しているのが医薬品業界なのです。
お薬の種類ですが、皆さんがテレビや雑誌で聞いたり読んだりあるいは薬局で直接購入できる薬は一般用医薬品と言われ、頭痛や風邪など軽い病気に使われます。これは全体の約10%を占めているだけで、その他の90%は医療用医薬品と言われます。医療用医薬品は皆さんが病気になった時に病院や診療所でお医者さんの診察を受けて処方(渡す)されるお薬を言います。今日は医療用医薬品を中心にお話しします。

医薬品業界とは

医薬品業界の特徴は、第一は生命関連産業と呼ばれていることです。
商品であるお薬は、生命にかかわる病気を治す効果とともに併せて副作用も持っていますので慎重に扱う必要があります。だからこそ私たちが直接扱うのではなく医者という専門家が使用する判断をしているのです。
第二は、他産業とは大きく異なり新しい医薬品を生み出す為には約15年(車は約3年と言われる)という長い年月と膨大な費用(研究開発費)がかかります。研究開発比率(研究開発費/売上高)の全産業平均は3.2%ですが、医薬品産業は約4倍の12.2%、大手医薬品企業では約6倍の18.9%と巨額です。金額でいえばトップ企業では毎年2,000億円以上の研究開発費を支出し続けて初めて、世界の患者さんに使われる新しい薬を生み出すことができるのです。
日本の医薬品の市場規模は世界の約11%を占め、米国に次ぐ規模になるので世界中の医薬品企業が参入し激しい競争をしています。
日本の大手の企業規模は世界のランキングで10-20番に位置し、マラソンで言えば2番手グループを走っていると言えます。1番を目指しチャレンジする余地が限りなく残されています。
医薬品企業が成長する為には、世界の患者さんが期待する新薬を開発し、優秀なMR(営業担当者)が新薬をたくさんの患者さんに届けることが最も大事なことです。

医薬品業界における営業活動

業界の仕組みとして、医薬品メーカーは医療用医薬品を医薬品卸を経由して病院、診療所、調剤薬局に届けています。病院や診療所ではお医者さんが患者さんを診察して適切な診断のもとにお薬の使用を決めています。患者は医者の指示にもとずき調剤薬局等で薬を受け取って服用します。
医薬品メーカーにはMRと呼ばれる営業担当者が営業活動をしています。
MRの役割ですが、MRはMedical Representativs の略で世界共通語です。
MRは医薬品の販売、回収はしません。少数のセールスと呼ばれる別の職種が行います。
MRは医薬品を正しく使っていただくために病院や診療所を訪問し、お医者様にお薬に関する正しい情報(特に効果と副作用)を届ける役割を担っています。
MRは”業界で定めるMR資格を持つ必要があります。入社後いろいろな研修を受け試験をパスして初めて営業活動が可能となります、
文化系の出身者は不安をもつかもしれませんが、会社の準備した研修カリキュラムに沿って勉強することで、私の所属した会社では全員がパスしているそうです。
MRは自社の薬を中心に専門性の高い知識・情報を身につけることになります。

MRとして求められる人材

私が仙台支店を立て直しトップの支店に作り上げたときに、多くのMRと一緒に仕事をしながら優秀なMRも見てきました。何年も100点を続けている一人のMRには印象的な3つの点がありました。彼は雄弁でも切れる感じでもありませんでしたが、まずは非常に謙虚でした。話をよく聞きそれから質問に答えたり提案をしていました。そしていつでも感謝の気持ちを持ち続けその日に会った顧客(医者)にはその日の内に必ず礼状を書いていました。2つ目は、いつも勉強し情報を収集する努力を惜しみませんでした。医者の満足する答えを正しく返していたのだと思います。3っツ目は良い趣味を持っていることでした。彼はスキーを学生時代に始めたそうですが、直接の営業活動とは別の流れの中でスキーを道具に医者との強い絆を作っていました。
彼のこのような行動が顧客の信頼を勝ち取り優秀な営業成績をあげることが出来たことが分かります。
以上の3点はMRだからというものではなくどの業界の営業にも当てはまることでしょうが、営業担当者の大事な資質と思います。皆さんの参考になったら幸いです。

最後に、私は自ら新薬を生みだした研究者ではありませんが、自社の素晴らしい薬が世界の患者さんに貢献し、多くの病気を治し命を救った会社の一員であったことを現在でも誇りに思っていることをお伝えし終りとします。
>>2012業界研究 第3回 コンサルティング