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2011年度 第5回 金融業界(通算5回)

はじめに

 ペッツベスト少額短期保険株式会社 土井 誠 様

現在は、ペット保険会社の社長をやっておりますが、およそ44年ほど前から、保険業界で仕事をしています。

最初に仕事をした会社は、AIUという会社です。アメリカンインターナショナルアンダーライタースといいます。
この後に、同じ損保でINA損保、インシュランスカンパニーオブノースアメリカという保険会社です。
タイタニックが沈んだのは、1912年ですが、そのときに、電話一本でタイタニックの一部の保険を引き受けた保険会社が、INAという保険会社です。

その後にINGという、これはオランダの保険会社ですが、こちらは生命保険会社です。INGが日本に進出して生命保険事業を始めたいということで、営業部門の責任者として参画致しました。営業開始は1986年4月でした。同社は現在、屈指の外資系生命保険会社としての地位を固めております。

保険とは

保険というのは、最初にイギリス、ロンドンでスタートしています。
17世紀末のイギリスでは、世界の七つの海に商船がどんどん出て行き、胡椒やお茶、焼き物などを東洋から仕入れて欧州で売り捌くということをやっていました。その往復時に、船が沈んだり、海賊に襲われて積荷がイギリスに持ち帰れないということになると、荷主も船会社の船主の人も大損をするわけです。

そこで、保険制度が登場しました。船が出航する前に、保険引受業者(アンダーライター)が集まり、積み荷と船舶の保険料を定め、引受を希望するアンダーライターは上から順番に各々の名前を記し引受を承諾しました。無事に船が帰ってきて利益が出たら、その投資額(保険料額)によって配当しようという、これが海上保険のスタートなんですね。
そこから、保険制度というのはスタートしています。

この保険制度というのは、すべてヨーロッパ、アメリカを経て、日本に入ってきたわけです。日本においては保険業法という法律を作って明治12年に海上保険、明治14年に生命保険、明治20年に火災保険が発売開始されています。以来、損害保険と生命保険、この二つがずっと日本の中で発展してきました。

少額短期保険

従前、保険業法には、損害保険と生命保険の二つしかなかったのですが、2006年4月1日を期しまして、新たに少額短期保険業法という業法が金融庁の認可により施行されました。少額短期保険業者はいろんな商品を扱っています。私どもはペットだけに集中してやっていますが、ペットの医療保険を扱っている少額短期保険業者は合計7社ほどあります。この少額短期保険業というのは70社あります。この事業の使命というのは、従来の損保、生保ではできなかったニッチの商品、要するに大きな保険会社では作り難い商品の開発を行ない、社会生活のニーズに応えようという考え方なのです。

今、日本でも家族同然の犬、猫を飼って、お互いに癒し合いながら暮らしていこうという家庭が、非常に多いです。子供たちがどんどん独立して出て行った後には、夫婦で寂しく過ごしているわけですが、そこへワンちゃんかネコちゃんがいると、夫婦の会話がなくても、それぞれ奥さんもご主人も、ワンちゃんかネコちゃんに問いかけて、ご主人に言うよりも、ペットに語りかけるという、そういうことでひとつの核家族が、ペットでうまくひとつの流れを作っているという現実が非常に多く見られています。現在日本の中で、どれくらいの犬と猫が飼われているかといいますと、犬が1,186万匹、猫は961万匹といわれています。(2011年 一般社団法人ペットフード協会調べ)皆さんは健康保険とか国民健康保険に加入しておられるので、ちょっとした風邪でも保険証を持って病院に行けば、すぐ診察を受けることができるわけです。
一方、このペットについては、そういう医療保険がないのです。それぞれ、動物病院での自由診療ですから、高いところ、安いところ、バラバラなんです。たとえば東京の足立区で去勢手術をしますと、ネコちゃんで大体1万円前後、これが六本木や麻布に行きますと、その手術の費用が10万円前後掛かります。それくらい地域格差というのが極端にあるわけです。これはあくまでも自由診療だからということで、これを規制することは今のところ法律でできないことになっています。これは欧米でも然りでして、環境によって料金が違うということがあるわけです。おかげさまで、日本でもようやくペットの医療保険というのができ、一般に周知されつつあり、われわれは懸命に普及に努めております。

この少額短期保険業者は70社ほどありますが、ペット保険もあれば、糖尿病に罹ったときに保障するという糖尿病だけを対象とした保険会社もあります。また、借家人賠責といいまして、借家で火災を起こした場合、大家さんに対して賠償責任が生じます。そういった時に保障する賠償責任保険という商品も少額短期保険で扱っています。自動車のウィンドウガラスにダンプの石が跳ね返ってきて割れた時、これだけを専門に保障しているような、少額短期保険業者もあります。

IT化が進む、保険業界

このように多種多様な保険商品を開発するためには、コンピュータシステムによる商品開発が不可欠となります。ペット保険も、インターネットを通じて加入して来るお客様が、私共の会社では約65%もおられます。それもこれも、システムがないと受けることができないというのが実態です。このようなシステム開発の多くは中国や台湾などで行なわれているのが現状です。

そのシステムの開発技術は、インドの人や中国の人や東南アジアの人たちが、日本の若い人たちを凌駕していると言っても過言ではありません。このような状況ですから、是非、そういう外国の人たちに負けない発想とPCのスキルアップに努めていただきたいと、皆さんに期待するわけです。

このPCのスキルアップというのは、これから就職をされる皆さんにとって不可欠のものと私は考えております。どのような会社のどのような仕事に就かれても、PCのスキルは、昔の≪読み、書き、そろばん≫に匹敵するものです。ですから、学生の中にPCのスキルを十分に修得して、就職に臨めば、職場では必ずや重宝されます。無口で口下手な人でも、PCのスキルが優れていれば、如何様にもつぶしが効くというのが現在の職場なのです。是非、頑張ってPCのスキルアップに努めてください。

保険会社の今後

保険会社というものが、今後どういう方向に進んで行くのかについて考察してみます。
例えば、AIU保険会社は1960年代、新しい自動車保険を日本で販売を開始、一気に日本の中で大変な評判を呼び、全国の人たちが自動車保険に入るならAIUということで、どんどんAIUに加入しました。これは、どういうところにポイントがあったかと云いますと、要するに保険というのは、保険金が如何に早く正確に支払われるかということが保険商品の命なんですね。保険契約者が保険料を払っても、実際に保険金の支払いが遅かったり、契約内容どおりに保険金が支払われないということになると、その保険商品は良い商品とは云えないのです。如何にして保険金を早く払うかということでAIU保険会社は大いに工夫を重ねました。


私がAIU保険会社に入社しました当時、仕事は首都圏の各修理工場さんを車で回って、事故に遭って壊れた車の修理代金を修理工場の責任者と取り決めることでした。其の後に保険金を支払うわけですが、そこでAIUが採用した支払方法というのは、10万円までだったらその場で小切手で払いましょうというシステムを考えたわけです


修理工場さんが一番困っているのは、修理工場さんが車をきれいに修理をしたけれども、保険会社から保険金が支払われてくるのは、早くて大体3ヶ月と言われていました。あの頃、日本経済は右肩上がりの成長を続けていました。モータリゼーションと言いまして、車の台数がどんどん増えていました。にもかかわらず、日本国内の自動車保険というのは旧態依然としていまして、保険金の支払に必要なスピーディーに支払うという考え方が全くなかったのです。
このような状況の中に、アメリカからAIUが出てきて、とにかくもうスピーディーに払うぞということで、修理工場に行っては10万円まで、小切手でどんどん支払ったわけです。
そうしましたら、全国の修理工場さんは自分のところで車検をやったり、たえず車の点検をしてくれるお客さんはいっぱいいるので、そういう人たちに対して、自動車保険に入るのであれば、是非AIUでお願いしますと、お客さんにどんどん宣伝してくれたのです。


このように、事故車の査定現場で即刻、保険金を小切手で支払うという発想は、年配者には無理で、若い人でないと思い付かない発想なのです。極めて単純な発想、アイデア、業務の転換が会社の知名度アップ、販売増進に繋がっていくという、これは分かり易い事例です。
若い皆さんには、従来の方法に捉われることなく自由な発想で、企業の中で活躍して戴きたいのです。


それからINGというオランダの保険会社でも、大ヒット商品を出しました。
これは、どういう商品かといいますと普通、生命保険とは人の怪我であるとか病気であるとか、命に対して保険を掛けるわけですが、保険料を負担する人が個人じゃなくて会社がまとめて社員や役員のために保険料を負担するという仕組みの保険を開発しました。例えば、会社の役員が10人いるとしますと、その役員の人たちに一律1億円の生命保険を付けましょうというセールスを展開したわけです。会社は保険料をまとめて保険会社に支払うわけです。


個人個人に売り歩くのが生命保険じゃなくて、そういう企業にどんどん保険商品を販売する、これは法人営業と云いまして企業に喜ばれる保険商品の販売活動なのです。この種の法人向け保険商品は租税の中で、損金を認めるという部分もあり、企業はそういうメリットを国からもらっている部分もあるんです。ですから、生命保険会社はそういう法人営業にも力を入れていると云うことを皆さんに分かっておいて戴きたいのです。

保険会社の営業

この保険会社の営業の面白さはどこにあるかと云いますと、生命保険に限って言えば、人がいる限り生命保険の契約というのは販売推進ができるわけです。要するに、多くの人たちに会うことができますし、いろんな業種の会社に出入りすることができるわけです。

生命保険というのは、人が存在する限り、活動できる仕事です。次に、損害保険の代表的商品であります自動車保険の販売について述べますと、自動車は個人の所有車も会社の所有車もあるわけですから、これも生命保険と同様、あらゆる人々、多種多様な企業を訪問、販売活動ができるわけです。このように、保険営業の面白みは、日々ありとあらゆる人たちや会社に出会うことができることにあります。人と接することに興味のある人にとって、保険営業はやりがいのある仕事と云えます。

社会人先輩としてのアドバイス

ひとつの仕事をずっと続けていると、その仕事の社会的意義や価値が徐々に分かってきますので、一段とその仕事に魅せられるものです。ですから、やはり続けるということが、肉体的にも精神的にもいい作用をその人に与えるものだと思います。

これから皆さんは、自分をとことん極めるぞという心構えで目の前の仕事に取り組まれれば、自ずと仕事の喜びも人生の喜びも感じ取ることができるのです。皆さん一人一人が、人生のひとつの課題をしっかりと持って戴き、自分はこういう世界を極めたいとか、海外でこんなことをやってみたいとか、先ずは目標を定めて、動き始めることです。何も日本国内に埋もれる必要などまったくありません。とにかく世界のいろんなものを見るということは、全部自分の感性の中にどんどん入ってきますから、そういったものがまた一段と、自分が次にステップアップするときのパワーになるわけです。

人生に無駄というものはほとんどないと思います。ただ怠惰に過ごすというのは確かに無駄です。興味のあることにはいくらでも頭を使えるわけです。嫌々ながらというのは、これは健康にも良くないですから、是非これから仕事を選ばれるときには、これだったら自分は本当に徹底的に一生を捧げてもいいという仕事になるべく早く出遭う努力を惜しまないことです。就職には運不運というのがありますから、自分がこの世界はだめだと思ったら、次に進めばいいのです。本当に自分にあった仕事というのは必ず出てくるはずですから、転職を3回も5回もやろうと、自分にぴったり合う仕事に巡り会えれば、それが一番の幸せなわけです。とにかく落ち込んだり自分に疑問を持ったりしないで、自信を持って、仕事に取り組んでください。

以上が40数年仕事を続けて来た先輩としての皆さんへのアドバイスになろうかと思います。
ありがとうございました。

>>業界研究 第6回 アパレル