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2017年度 第6回 食品・流通業界(通算88回)(平成29年11月2日)

「コーヒーを通じた日本」・・・日本人は何故ブラジルに渡ったのか?

安達 公一様   
     元三井物産株式会社
     元Mitsui Alimentos Ltda(ブラジル)社長
     元三国フーズ(株)代表取締役社長

◆ はじめに

三井物産に入社し、コーヒーの商売に携わることになって世界最大のコーヒー生産国であり世界第二の消費国であるブラジルに強い興味を持った。しかし、何故コーヒー農園主に日系人が多いのか?常に疑問に思った。日本史あるいは世界史の教科書にも書いてないので、この講座では日本人とブラジルコーヒーのかかわりについて是非皆さんに知って頂きたいと思いブラジルについて触れることにした。私も三井物産時代に世界最大の生産国ブラジルでコーヒーと深く関わりあった。世界中のコーヒー消費者に最高の味を提供するために12年2ケ月の歳月をブラジルで過ごした。コーヒー生産者と連携して最高の品物を皆さんにお届けしようと力を尽くしてきた。そのために活躍する数多くの日本人や日系人の皆さんに接し、情報・協力を得、また、コーヒー歴史の中に日本人・日系人の皆さんの活躍あって、コーヒーの歴史の一幕を支えてきたことを敢えて皆さんにお知らせしておきたい。

◆ 日系ブラジル人

第一回移民は、ブラジルで財産を築き「錦上花を添えて日本へ帰国するのだ」といった希望を抱いてブラジルに1908年第一期移民が入植した。サントス港に入港しサントスからサンパウロへ鉄道で移動しサンパウロで通関を終了してサンパウロ州のアララクアラ線、モジアナ線、ノロエステ線、パウリスタ線、ソロカバ線の鉄道路線を通じて同州内のコーヒー農園に賃金労働者として、それぞれのコーヒー農園に分散していった。しかし、思いもよらぬ(日本で聞かされていた条件と違うなど)塗炭の苦しみを味わった。とりわけマラリアに苦しめられ多くの日本人移民が命を落とした。「石川達三 蒼氓(そうぼう)」「北杜夫 輝ける碧き空の下で」当方とも新潮文庫お読み願いたい。厳しい環境の中で言葉や文化の違い、貧困、病気と闘った風景の一端をご理解頂けるものと思う。
一方で奮闘の成果として着実に財を増やした後にコーヒー農園主として成功した人々も多い。1980年代~1990年代に筆者が面談した中にアントニオ上野氏、エドワルド藤原氏、ジョン吉村氏、下坂兄弟などがいた。最近ではミナスゼライス州・パトスデミナス市の福田トミオ氏のコーヒー農園(約1,000HA)から高品質のコーヒーが三井物産を通じて日本に輸入されセブンイレブンの淹れたてコーヒーで売られている。タリーズコーヒーでも福田氏のコーヒーは焼き豆(200G)で売られている。又、日系人の歴史の中で忘れてはならないのに日系人が打ち立てた二つの農協がある。(全体として日系移民は25万人にのぼる)一つはコチア産業組協同組合(Cooperativa Agricola de Cotia 全盛期には15000世帯の日系人が参加)、もう一つは南伯農協組合(Cooperativa Agricola de Sul Brasil)であった。彼らはコーヒーを初めとして、綿花、野菜、果物、馬鈴薯、鶏卵など大サンパウロ市の近郊の農園で生産された商品を農協ルートを通じてサンパウロ市に設けられた市場(Mercado)に卸し、サンパウロの消費者に届けた。従来、サラダ野菜など食習慣に馴染んでいなかったサンパウロ市民・消費者の食生活スタイルを劇的に変化させたと言われている。又、南米銀行(Banco America do Sul)は、生産者の資金繰りに寄与した。 但、1980年代からのハイパーインフレ(月に30%~40%)のために両農協・銀行とも閉鎖・撤退を余儀なくされた。(最近の日系四世・五世の日本で勉強しているブラジルの子供達は先人の苦労を、大人を含め、これらの歴史を全く知らないようだ。)
ところで現在、ブラジルに日系人は約150~200万人が暮らしている。三世、四世、五世、六世の時代になり、三世あたりになると日本語を話せないケースが多い。彼らは日本人の血をひいていることに自尊心を抱いており「昔、お爺さんやおばあちゃんから故郷・日本の話をよく聞かされたものだ」という発言を聞いたことがある。又、日本人と他人種(とりわけヨーロッパ系との)の混血の割合も多くなっており純粋な日系人の比率も低下しているものとみられる。日系人は「勤勉さ」と高い教育水準で社会的地位が高い職業(政治家、医師、弁護士、起業家等)についた方々が多い。ブラジル社会における日系人の「勤勉さ」は評判が極めて高く、現地ではジャポネース・ガランチード(Japones Garantido :日本人は信用・保証できるという意味)と呼ばれており、その意味でも、おかげで進出企業・駐在員にとって仕事がし易い環境が形成されている。

◆ 世界最大のコーヒー生産国&消費国ブラジル

日本とブラジルの関係は日系社会を通じて深く繋がっていることは前述の通り。
世界の総生産量は155百万表(930万トン)、その中でブラジルコーヒーの生産は2017/18コーヒー年度約60百万表(360万トンで世界の総生産量の4割、世界の総消費量・供給量はほぼ拮抗している)因みに日本のブラジルを含め全コーヒー輸入量は48万トンである。勿論、ブラジルがNO.1である。ブラジルは世界最大の生産国あると同時に米国に次いで世界第二位の消費国である。又、10年以内に米国を抜いて世界最大の消費国になると言われている。いずれにせよ、日本人にとって量のみならず高品質のコーヒー豆が供給されることを期待したいものだ。
以 上