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2016年度 第10回 IT業界(通算80回)(平成28年12月22日)

講義風景

中山 憲二様 

元・日本オフィス・システム㈱取締役常務執行役員

テーマ:IT業界の営業職とは ~SI企業の法人営業を中心に~

◆はじめに

今回の講義では、IT業界の中で最も企業数の多い業態であるSI(システムインテグレーター)企業における法人営業職の活動の一端を紹介する。

◆IT業界のプレーヤーたち

SI企業のIT業界における位置づけの理解を深めるために、業界構造とそこで活躍する企業群を紹介した。
1.メーカー;
    富士通、NEC、日立など日本企業、IBM、HPなど欧米企業があるが、ハードウェア製品をはじめ製品・
    サービスを幅広く提供する総合企業群である。
2.ソフトウェア;
    マイクロソフトに代表されるソフトウェア製品提供企業、日本企業としてはサイボウズ、ワークスなどがある。
    近年はソフトウェアからクラウドサービス提供へのシフト傾向がみられる
3.ネット、クラウド;
    グーグル、アマゾン、楽天、DeNAなど、今最もホットな企業群で、アプリとサービスを組み合わせたビジネス
    モデルなどで日々多くのベンチャー企業が現れている。サービス(コンサル、SI);コンサルティング、システム
    開発、アウトソーシングなどの法人向けITサービスを提供する最も企業の多い分野。外資系以外では、下記に
    三分類される。
     ①メーカー系列会社;富士通マーケティング、NECネクサソリューションズなど
     ②ユーザー系列会社;金融系、商社系、メーカー系、流通系など
     ③独立系会社;大塚商会、トランス・コスモス、富士ソフトなど多数

◆SI企業が提供するものは何か

SI企業の営業職が顧客に提供するものは何であるか? それは、顧客企業がITを活用して事業活動を円滑に営めるように支援する事と定義できる。事業活動は、調達、生産、販売、サービスなどの価値創造活動や会計、人事などの基盤的活動に分かれるが、いずれもIT無くしては効率的な運営は難しい。ITは①事業活動を直接的に支援するアプリケーション・ソフトウェア②アプリケーションの稼働を支えるプラットフォームとしてのオペレーティングシステムやミドルウェアといったソフトウェア③①と②を稼働させるインフラストラクチャーとしてのハードウェア、データセンター、ネットワークで構成される。
SI企業は、顧客毎の特性ニーズに応じてこれらの構成要素を最適に組み合わせて提供しており、ハードウェア製品、ソフトウェア製品、クラウドサービスなどを取捨選択したうえで、システム開発サービス、インフラ構築サービス、運用アウトソーシングなどを提供としている。

◆SI企業の営業活動とは

どのような商品やサービス販売においても、購買プロセスを買い手の心理に即してひも解くと、最初は売り手である営業パースンに対して「この人物は信用できるのか?」と不信感を持っているものであり、そこをクリアできた次には、売り手の勧める商品やサービスが「本当に役にたつのか?」と必要性に確信が持てないことが多いものである。更にそこを乗り越えた先には、「他の会社にもっとよい商品・サービスがあるのではないか?」とか「今急いで買わなくてもいいのではないか?」といった疑問を持つものである。営業職は、これら顧客の購買心理における「不信」「不要」「不適」「不急」といったハードルを越えないと注文を獲得し営業活動を成功裡にクローズすることができないのである。
以下、SI企業の営業活動におけるポイントを要約する。
・「不信」を克服するためには、初回訪問事前準備として顧客企業の事業内容、業界環境などをインターネットや投資
 家向け開示情報などを収集分析し、事業運営上の優先課題とIT活用の可能性について自分なりの仮説を持つこと
 が重要になる。初回訪問の対話において、これらを踏まえて顧客の立場や視点に立って役に立ちたい事を率直に
 伝えれば多くの場合、不信感を抱かれることなく受け容れてもらえるものである。
・「不要」を克服するためには、顧客の課題ニーズを業務内容に沿ってできるだけ具体的に確認することが重要であ
 る。また、課題をもたらしている原因の掘り下げを「なぜ・なぜ」を何度も問いかけて課題を生み出している真の原因
 を探り当てることができれば、それに対する処方箋が適切な解決策となる。あとは解決策を実現するためのシステ
 ム要件を整理し、それに最適なソリューション案を提案する。この「課題」から「ソリューション」に至る一連の因果関
 係が顧客に十分納得されれば提案に対する必要性についての疑念を払拭できる。
・「不適」「不急」を克服するためには、提案するソリューションのユニーク性も大切であるが、それを採用することに
 よって得られる投資対効果が最も重要な点となる。SI企業の提供するITが事業を支える仕組みとして有効であるか
 どうかは、P(利益)=R(売上)-C(コスト)の式において事業価値として利益最大化をもたらすために、提案されたITが
 「売上の増大」か「コストの低減」に定量的に役立つものであることを具体的に示す事が必要となる。この点が納得さ
 れれば、提案ソリューションの採用にゴーサイン=営業活動のクローズに到達できる。

◆SI企業の営業に必要な力

前記のような営業活動をつつがなく遂行し、高い業績を上げ続ける営業パースンに必要な力を最後に述べたい。
先ず、最低条件として必要な「知識」として、IT技術に関する基礎知識、自社製品・サービスに対する知識、同業他社製品・サービスに対する知識、顧客企業の業界や業務に関する基礎知識、会計に関する知識、企業法務に関する基礎知識が必要になる。これらは資格試験を意識した座学やOJTの機会を通じて学べるが、技術変革の激しいITの世界では「教育に飽和点なし」(IBM創業者ワトソン)の心構えで学習を続ける事が大切である。
しかし、どんなに高い知識を持っていても高い業績を上げられるとは限らない。顧客との日々の営業活動において信頼関係を構築するためには知識以前の価値観や行動原理が大事になり、これらを「コンピテンシー」と呼ぶ。様々なコンピテンシーの中でも「お客様志向の考えと行動」「誠実で正直」「目標達成への高い志」「自身のキャリア開発への情熱」「チームワークを尊ぶ姿勢」などが特に大切であり、職業人としての土台になる。