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2016年度 第7回 観光・航空業界(通算77回)(平成28年12月1日)

講義風景

伊豆 芳人様 
  元・ANAセールス常務取締役
  現・ANA総合研究所 客員研究員

テーマ:観光・航空業界について

毎年9月に「ツーリズムEXPO」が開催される。2016年、出展者は世界各国・日本各地から1,000を超え、来場者数も185,000名を超える大規模な万博になった。キャッチコピーは「旅は変える。人生を。世界を。」旅はそれだけの大きな力を持っている、と私は信じているが、ツーリズム産業とはどのような産業なのか?日本のツーリズムの課題は?将来性は?について以下に論じてみたい。

◆日本のツーリズムの現状

 日本は観光立国を目指している。外国人にたくさん来て頂いて、日本でお金を使ってもらいたい、という政策である。観光立国の考えを示したのはパナソニック(松下電器産業)の創業者である故松下幸之助氏である。敗戦から日本が立ち直ろう、工業や貿易で立国を目指し始めた昭和29年であった。今に通じる先見性に満ちた提言であり、観光立国が日本にもたらす経済の活性化、国際収支の改善のみならず、日本人の国際的視野を広げ、国際人としての活躍を期待する提言は、驚くべき慧眼であった。現実の日本は工業や貿易で高度度成長期を迎え、人口も増え、そのピークは1990年頃であった。そして、バブル崩壊。2003年、小泉元総理が「観光立国宣言」をした当時は、経済低迷・人口減・少子高齢化・地方衰退など真に日本は衰退の一途をたどるという危機感があった。一方、アジアに目を転じれば著しい経済発展が始まっており、生活も豊かになり、海外旅行への欲求が急速に高まっていた時期であり、世界、特にアジアとの交流拡大こそが日本再生の政策である、との判断が働いた結果の「観光立国宣言」であった。2008年には故松下幸之助氏の提言通り、観光庁が設立され、以降、リーマンショック、東日本大震災での大きな落ち込みも乗り越え、訪日旅行者数は2003年の521万人から2016年は2,000万人を超え、なんと4倍強となる成果を上げている。
 観光立国の基本理念は、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」。ツーリズム・観光を単に名所や風景を見ることだけではなく、住む人がその地に住むことに誇りを持ち、幸せを感じられる日本にすることで、「光」を放ち、外国人はその「光」を「観」にくる、と定義付けている。この壮大な理念があったからこそ観光立国は国を挙げての政策となり、今も継続されていると言える。

◆日本のツーリズムの産業規模(2015年)

 訪日旅行者消費額とは外貨獲得額であり、自動車輸出12兆463億円、化学製品輸出7兆7,594億円、電子部品輸出3兆9,145億円などに次ぐ日本第6位の規模まで成長した。政府目標は、2020年に8兆円、2030年に15兆円であり、訪日旅行の経済規模が自動車輸出額を超える日が来るかもしれない。まさに観光立国であり、ツーリズム関連産業は皆さんの将来を託せる成長産業である。 
 ①国内旅行(日帰り含む)  20兆4,090億円
 ②海外旅行          4兆6,300億円
 ③訪日旅行          3兆4,771億円 前年比158%

◆世界のツーリズムの現状

世界は今や”大交流時代”を迎えている。
 ■世界の海外旅行者  11兆8,400万人(2015年)前年比 104%
  世界の平均出国率(海外旅行者÷人口)は、約16%。日本の出国率は約12%であり、世界各国の率と比較して低
  い値である(韓国29%、台湾47%、ドイツ93%、イギリス91%etc)。また大きく増加した訪日旅行者数も世界の海
  外旅行者の1.7%が来ているに過ぎない。大交流時代を迎えている世界の趨勢からすると日本の現状は、観光発
  展途上国であり、極東且つ海に囲まれた地理的不利はあるにしろ、日本のツーリズムは、十分な伸びしろがある
  産業、つまり皆さんの活躍場がたくさんある産業である。
 ■国際観光収入(2014年)
  ・日本 188USドル
  ・アメリカ:1,772USドル、スペイン:651USドル、中国:569USドル

◆ツーリズムの仕事

ツーリズム産業は”すそ野”が広い。旅行に行く時には、旅行かばんを買い、旅行にも入り、服も、靴も、薬も買う。とは言え、やはり中心的な業種は旅行業、宿泊業、運輸業であり、次に旅行業、航空産業の仕事、特に営業の仕事について、私の経験に基づ
 ■ツーリズムの仕事で大事なこと。(キーワード)
  ①グローバル&ローカル
   グローバルとは、”世界の多様性を知ること”、ローカルとは日本を知ること、と言い換えることができる。観光立
   国を目指すということは、文化・歴史・宗教などが違う世界中のお客様を”おもてなし”をすることであり、世界の多
   様性を知らずして”おもてなし”をする事もできない。またグローバルと言うと「英語が喋れなくては!」となるが、
   もちろん喋れた方が良いが、それよりも自分の国、日本の歴史、風土、文化、歴史などを日本語で説明できるこ
   との方がはるかに重要である。日本の文化、と言っても古来の文化から現代のアニメ文化も含むのであり、若い
   皆さんが敬遠することではない。グローバルとローカルは表裏一体の関係と言える。
  ②チームワーク&ホスピタリティ
   航空会社・旅行会社を支えているのは、チームワーク&ホスピタリティと言っても過言ではない。特に航空会社の
   場合、パイロット、客室乗務員、整備士、営業スタッフなどが高度に訓練されたプロフェッショナルでなくてはなら
   ず、組織は縦割りになりがちである。しかし、会社全体、現場から経営まで一体となった顧客満足(CS)を最大
   にする、仕組みづくりとチームワークが会社の命運を決める。そして、ホスピタリティ、”おもてなし”。空港の現場
   などでお客様をファンにするか?失望させるか?は全て現場の社員(スタッフ)次第であり、お客様と社員(スタッ
   フ)との出会いの場の印象やその時の出来事が会社のサービスに対する評価を決めてしまう。サービスを受けて
   いるお客様にとって、航空会社・旅行会社という企業の代表は社長ではなく、サービスを提供している社員(ス
   タッフ)なのである。会社は現場に権限を委譲するのだが、それには、しっかりと研修を受け、モチベーションが高
   く維持された社員(スタッフ)であることが絶対条件である。社員(スタッフ)のモチベーションを維持するには
   給料も大事だが、教育・研修をしっかり行った上での権限委譲が大事であり、従業員満足(ES)と顧客満足(CS)
   は車の両輪である。
  ③好奇心  
   知りたい、見たい、食べたい、聞いてみたい、会いたいと言う好奇心を大事にして、思うだけでなく行動して、上辺
   だけなく、一つの事を極めて自分のものにしている、夢をかなえる努力をしている人を多くの企業は採用したい、
   大事にしたい、と思っている。

◆まとめ

ツーリズム産業とは交流ビジネスである。人の交流が多い国(アメリカ・中国・韓国・台湾など)とは貿易・物流も盛んである。また、ツーリズム産業は”すそ野”が広いので、就職先の選択肢も広い。旅行会社、航空会社、宿泊業だけだでなく、地方自治体・DMO(ディストネーション・マネージメント・オーガニゼーション)なども特に好奇心旺盛でWEBに強く、BtoCのマーケティング人材を渇望してる。訪日旅行マーケットでは、中国人の爆買い終焉後、日本での旅行費用をどこで、何に使って頂くかのアイデア競争である。そして、お客様は世界中の人であり、日本は観光発展途上国
でもあり、皆さんにやって頂くことが山盛り。伸びしろは十分にある産業である。そして、観光立国の目的は「住んでよし、訪れてよしの国づくり」である。つまり、日本を良くしていくことが観光立国への道なのである。

観光、交流で国を繁栄させる仕事とは楽しく、夢があると思いませんか?
皆さん、ツーリズム関連企業にぜひ興味を持ってください。