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2016年度 第6回 食品流通業界(通算76回)(平成28年11月24日)

講義風景

安達 公一様
  元・三井物産株式会社
  元・Mitsui Alimentos Ltda(ブラジル)社長
  元・三国フーズ(株)代表取締役社長

テーマ:日本の飲料市場概要とコーヒー飲料動向について

◆清涼飲料市場概要

全体像からすると2014年の市場は49,350億円(昨年対比98.1%)とみられる。消費税増税による消費控えや、夏場の天候不順が主たる原因で5年ぶりに昨年対比を下回った。2015年は49,950億円(前年比101.2%)とみられる。
今回は、我が国飲料市場を俯瞰しつつ最新のコーヒー飲料市場を逍遥しよう。

◆飲料・消費市場の動向

過去20年の我が国の飲料市場(Beverage Market)を俯瞰してみる。常に炭酸飲料(コカ・コーラ、スプライト、ファンタ、サイダー)がトップを走りコーヒー飲料とウオタ―が第二位グループにつけている。ここ数年はミネラルウオターの躍進がみられる。一方、コーヒー飲料は極めて堅調な推移を見せている。茶飲料は一時爆発的な数字を見せたこともあったが現在はその勢いはなさそう。昨今、夏季猛暑も手伝い熱中症対策もありスポーツ飲料が伸びているのも昨今の特徴と言える。

◆コーヒー消費市場と自動販売機

2015年12月末で296万台であるがメーカーならびにオペレーターが詰める自販機(フルサービス)の数字である。これに加えてメーカーによる酒屋などへの貸与でメーカーが酒屋に売り、酒屋が自分で詰める自販機(レギュラー・フル)が10万~15万台あると推定されるので自販機市場は全体として310~315万台程度あるものと推測される。2011年東日本大震災の際、当時の石原慎太郎都知事が「街頭に沢山(自販機が)あるがこれは日本だけ」と言いつつ節電を強要したが街頭(Outdoor)に自販機が展開できるのは我が国の治安・安全の確保によるもので正に日本的な風景であることは間違いない(治安のよくない諸外国では、自販機一台300KGあるので、地金として盗難の対象となるであろう)。
自動販売機も最近の傾向としてピークカット(夏場の最需要期である午後2時~4時に電源をカット)し省エネ化する。但し、それ以外の時間帯に冷やしておきながら顧客満足度を高める。又、環境側面からのロケーション・ニーズに従い自販機台数を減らすミックス機にメーカー商品、コカ・コーラ、キリン、アサヒ、サッポロ、大塚などを投入し環境対応を推進している。

◆コカ・コーラとキリンの原料資材調達と共同配送の提携

コカ・コーライーストジャパンとコカ・コーラウェストの両社が2017年4月に合併しコカ・コーラボトラーズジャパンが誕生。売上高 1兆円超、従業員16,900人。一方、キリンビバレッジは(キリンHD100%子会社)、売上高3,083億円(2016年3月期決算)従業員3,900人。サントリー食品の猛追を受けてコカ・コーラとキリンは危機感をもって手を組むことになる。コーヒー豆・果汁・ペットボトルなどの原料資材の共同調達、自販機やGMS・CVSへの共同配送などが対象となろう。業界の巨頭がベクトルを一つにすることでサントリー食品を逆攻勢できるのか。業界は固唾をのんで見守っている。これが業界再編の口火となるか、目が離せない。

◆缶コーヒー

日本で生まれた。
1969年UCCがこの商品を開発し世に出した。従来のマーケットのパラダイムを変革するに充分であった。持ち運びが便利であること、一口飲みであること、味もそこそこいける、過去のものとは違う新しいコンセプトもあり消費者の強い支持を受けた。遅ればせながらコカ・コーラグループもこれに負けじと「Georgia」(コカ・コーラの本社はGeorgia州AtlantaにあることからGeorgiaと命名した)を上市した。飲料市場において圧倒的な販売力のあるコカ・コーラグループは一気に販売量を増やすことになった。とりわけ味を重視する(従来はロブスタを中心としてアラビカで味付けをしていたが、次第にアラビカ中心の味を重視する戦略をとったために消費者を引き付けたことが缶コーヒーの息の長いヒットとなった。コカ・コーラGeorgiaに続いてキリンFire、サントリーBoss(JT Roots)、アサヒWanda、サッポロ がぶ飲みが、コカ・コーラを追撃することとなる(2015年SuntoryはJT自販機約15~18万台・ジャパンベバレッジを1500億円で買収)。 

◆清涼飲料の容器別シェアー

2015年を見ると缶飲料パッケージが減少傾向にある一方でペット(280MLや500MLなど)飲料が爆発的に増加傾向にある。缶飲料が飲みきり型に対し、ペットは持ち運びに便利であること、蓋が装着されているのでPortableであることから女性の強い支持をうけていることもある。とりわけキリンの「午後の紅茶」に対する女性の支持は強い。
ペットボトル 70.9% 缶 16.0% 紙パック 8.5% 瓶 1.4%となっている。
紙パックは製造工場内部での缶ペットの投げ捨禁止を課している企業も多く、オフィスにおいて女性従業員の要請があることで手堅く横ばい推移。(ガラス)瓶はナイトマーケット(飲み屋)や冠婚葬祭現場でのニーズがある。昨今ではアルミのペットボトルも顕在化している。「Black Coffee」など見栄えのよいデザイン容器が流行している。

◆コンビニエンスストアー(CVS)のコーヒー

2013年初めあたりからセブンイレブンが「一杯どり淹りたてコーヒー」を販売開始したところ一気に市場が拡大した。我が国のCVS店舗数は現在約5.4万店舖がありセブンイレブンは19,044店舗ある。一杯100円とリーゾナブルな価格の設定と、弁当やパンなど食材を同時に提供するまさにコンビニエンス(効率的)の実力発揮となった。ローソン、ファミマ(サークルK)、ミニストップがこれを追撃、市場は大きく伸びしろがあり拡大傾向と言える。この影響もありCVSで売られているGeorgia、Boss(Roots)、Fire、Wanda などの缶コーヒーはシェアーを侵食されつつあるようだ。又、既存のコーヒーチェーンなども少なからず影響が出ている模様。ファミマ・サークルKの2016年9月統合、店舗数だけならセブンイレブンの数に匹敵するも中身でセブンを攻略できるか。

◆カフェチェーン・ショップの展開

本家のカフェチェーンも負けていない。業界首位のドトール、次のスターバックス、三位 コメダ珈琲の三つ巴の戦いを繰り広げている。第四位のタリーズも追撃態勢にある。ドトール、スタバ、タリーズが「セルフ」に対しコメダは「フルサービス」(従業員が各テーブルで注文をとり注文した商品を各テーブルへ配ってくれる)であるところが決定的な違いである。コーヒーの味(Aroma & Flavour)の違いを出し、店内の諸々の商品サービス(ケーキやサンドイッチも提供)、店内の空間、雰囲気によりリピーターが付いているものと思われる(ドトールの鳥羽会長は若いころブラジル・サントスの丸紅コロラドでコーヒーの味の修行を数年行い帰国して自前のコーヒーショップを展開、我が国のカフェチェーン拡大の中興の祖)。

◆コーヒー市場の広がり

前述のCVSのみならず外食チェーン、ドラッグストアーでも「淹れたてコーヒー」市場に参入。

◆シアトル系コーヒー

スターバックス(Starbucks)は1971年米国シアトルで開業。1987年ハワードシュルツは店舗と商標権を買収しイタリア式エスプレッソ(Expresso)をベースとしたアレンジコーヒー(Arranged Coffee)が人気を博しシアトルスタイル(Seattle Style)のカフェブームの火付け役となった。
スターバックス(Starbucks)が我が国に上場したのは1995年(平成17年)である。瞬く間に店舗を拡大し日本だけで年商1256億円(2014年⒊月)を上げるようになった。① 落ち着いた照明などゆったりとしたインテリア ②通りに面したオープンテラス ③店内全面禁煙(但し、テラスでは喫煙可のところもある)④ フレンドリーな接客がその理由。日本の既存の店舗とは違う「舶来的なカッコよさ」もあって日本の若い男女の消費者を引き付けたのではないだろうか。

◆エスプレッソコーヒー

イタリア式コーヒーの淹れ方。蒸気を加圧し瞬時にコーヒーを抽出するために雑味がすくなく本来のコーヒーに近い味が満喫できるのが特徴。一方、蒸気加圧式であるために「劣ったコーヒーの味の欠点を隠す優れた方法だが優れたコーヒーの本来の味覚を引き出せない」との反論もある。筆者は前者を押したい。

◆バリスタ(Barista)

イタリア語でバール(Bar)でコーヒーに関する知識・技術をもつ職業という意味。日本でもジャパン・バリスタ・チャンピオンシップ(JBC)や世界バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)があり知識・技術を競い合う場がある。日本人参加者も増加傾向にある。

 ◆産地ごとのコーヒー味覚の特徴

原産国毎にそれぞれ異なる味わいがある。

◆品質鑑定 カップ テイスティング(Cup Tasting)

品質評価・格付専門の鑑定士(Classificador)によるカップテスト(Cup Test)で行われる。
ブラジルでは通常、品質鑑定士が、 
①生産年度 ②色 ③粒のサイズ ④欠点豆数・夾雑物の数 ⑤カップテイスティング(CupTasting)
による味覚の5項目が判定の基準となり、品質鑑定士が最終判定を行う。

◆本当に美味しいコーヒーとは?

焙煎(Roast & Ground)後、すみやかに入れるのが本来の風味(Aroma&Flavour)を楽しむ最も優れた方法と思われる。家庭で自分が気に入ったコーヒーを炒って粉に挽いてコーヒーの持つ香ばしさをじっくり嗅ぎながらフレーバーを楽しみつつコーヒーを淹れる愛好家も増えている。ゴマを炒る網で約20分をかけて焙いてみるのは楽しい。酸化防止のために窒素充填すれば数週間は風味を保つことができる。