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2015年度 第12回 建設業界(通算68回)

塩野谷 謙 様  元 竹中工務店 営業本部官庁部長

学歴:昭和47年3月成蹊大学経済学部経済学科卒業  
職歴:昭和47年4月(株)竹中工務店入社 
   昭和57年3月~平成24年3月まで営業職
   平成24年4月梓設計入社 企画室(営業)常勤顧問
   平成27年3月退社 現在に至る

テーマ:建築会社の営業とは?

第1部 「建設業に今、何が起きているのか」

1.「横浜マンション杭のデータ改ざん」事件とその背景
・建設業の構造的な課題である重層下請け制度とそれが引き起こすリスク
 重層下請け制度により元請会社から1次下請け、2次下請けなどに下がるに従って、予算額、工程等の逼迫、品質 
 上の不具合が発生する恐れがあることと、建設会社の営業職はこれらを意識した行動と、視点を持ち、これらを事前
 に防止、抑制する発想をすべきと説明した。又、業界にはこれらを回避するために様々は方策(多能工、プレファブ
 化、工場先付品目の開発、外装タイルPC打ち込み等)を講じていることも業界人としての知識として持つ必要があ
 る。
2.「談合」とその背景(価格つり上げと贈収賄の温床の事実及び、それによる大いなるリスク)
・談合の歴史的な位置づけと、これを回避するために編み出された様々な発注方式
 第2部で説明する様々な「発注方式」がどのような経緯で生まれ、採用されるのかを理解することと、発注側と施工
 側(業者)との狙いの違いにより、発注側の思惑に沿わない業者が受注することによる社会的なリスクも存在するこ
 となどを説明した。即ち、社会にはまだまだ様々な思惑が蠢いている事実を十分認識していただき、建設業界にお
 いて、自らの位置づけがどこにあるかを知るための一助となるよう、大手ゼネンコンの脱談合の動きも含めて説明を
 した。                
3.「新国立競技場設計コンペ」とやり直しの背景
・発注側の体制と発注方式に潜む問題点の存在と、それを意識した営業対応の重要性
 発注側、選定側の問題点が起こす重大なリスク(社会資本の無駄遣い等)が実際に存在していた実態とそれを回避
 するためにまだまだ社会の構造的な改革が必要であることを説明。

以上の3点から、建設業全体の課題を浮き彫りにすることにより、建設・不動産企業の営業職がどのような視線で毎
日営業活動を行っているか学生諸君に感じ取っていただき、本題を説明する導入部とした。

第2部 「建設業とは」

1.建設業に関わる様々な事項

1)建設業の種類
・建設業28業種の内容の説明。
2)建設営業の対象
・建設営業が対象にしている官民の発注先(国、地方公共団体、民間企業、個人等)
3)建設投資額と就業者の推移(建設総投資額50兆円、就業者500万人)
・建設市場である国内建設投資額の推移と、その業界に携わる建設就労者の推移
4)建設業の規模(大手ゼネコン年間受注高1兆円~1.4兆円程度)
・建設業の規模は受注額の大小とは別に建設会社の経営事項審査点によりその企業の健全性収益性等をはかり、
 庁関係は経審点等により資格審査がなされ格付けされる。
5)建設業に関する法律
・建築業法、建築基準法等、建設業の許認可及び建築に関する法令などの基本法は熟知すべき法令である。又、独
 占禁止法等倫理法などは法令違反による社会的なリスクと制裁が大きいため、歴史と現状の双方を十分理解すべ
 き法令である。日々の営業活動に欠かせない法令としては、宅建業法、都市計画法、民法、安衛法などでこれは建
 設不動産業界に携わる者としては熟知すべき法令であり、特に宅地建物取引士の資格は早い時期に取得すべき国
 家資格である。ぜひチャレンジしてほしい。
6)様々な発注方式 
・国は従来業界に横行していており、又、贈収賄の温床であった「談合」による受注と、それによる社会資本である
 公共建築物の技術不足による劣悪な品質の施工を防ぐ方策として、独占禁止法の強化と「公共事業の品質確保の
 促進に関する法律」の制定を行い、様々な発注方式の採用を始めこの概要を説明。この中で、官民の協働による
 PPP やPFIについては、講師の経験事例を交えて、情報のネットワークの重要性やこれから説明する様々な営業
 のツールを駆使した対応内容を説明した。又、民間企業等も従来特命により発注していたものが、現状は様々な発
 注方式を採用している。

建設会社の営業職はこれらの社会の仕組みの変化を早期にとらえた営業活動を行うために十分準備しておく必要が
あり、そのツールを次に紹介した。

2.営業活動のキーワード

1)ホウ・レン・ソー(報告・連絡・相談)の重要性
  営業は1人ではできない。独断専行の戒めと総力の結集の必要性
2)5W1H(六何の法則)
  行動前、及び行動中に考えているか常に後ろを振り返り、反芻しながら進む。
3)PDCAサイクル
  プラン、ドゥ、チェック、アクションの計画的な行動を心がける。
4)営業手法には農耕型、狩猟型と言われる2通りの手法がある。
  新しい営業マンには是非、他のものがやらない手法(狩猟型)を目指して欲しい。
5)リスク回避策
  リスクはどこにでも存在し、又、急に現れる。このリスクを回避する方策を常に考えるとともに、万一リスクを
  背負った場合の対処する方策も併せて考えて行動する。
6)営業活動のパターン
  自ら仕事を作っていないか。新しい顧客ニーズを的確にとらえているか、新分野、新事業、新開拓地などに常に目
  を向けていないか(ユニクロ、クロネコヤマトの事例を説明)

3.営業に必要な「情報のネットワーク」

●営業マンの能力の一つに幅広い人脈がある。
様々なパートナーの存在と必要性を意識する。学生諸君の身の回りの友人知人家族から始まり、社会に出た時期か
ら培った「人」との交流で、いずれ自らが担当することになるプロジェクトの促進と問題解決の方策を模索する為に、今
からでも情報のネットワークを構築してほしい。一人ひとりが常に意識して作っておくことが重要で、担当する事案ごと
に整理しておくことが、これから社会に出ていくため、又、業務遂行のために非常に重要である。

4.営業職が知っておきたい知識

1)海外との貿易協定の内容を理解する
  WTO(世界貿易機関)TPP(環太平洋戦略的経済連携)FTA(2国間貿易協定)。これらは、国内市場が
  縮小傾向の中で、「ビジネスチャンス」ととらえた視線として重要
2)PPP,PFIの仕組み(前述)
  官民協働であり、企業内、同業、異業種、関係先、金融等幅広い連携により事業期間中は長い期間これらのメン
  バーと携わることが出来る、将に情報ネットワークの結実である。
3)特区の内容と営業に有効な範疇として理解する
  新しいビジネスチャンスの。今までできなかった事や、できなかった地域で可能となる。
  ・構造改革特別区域(教育、物流、農業、医療、福祉、産官学連携等)
  ・国家戦略特区(アベノミクスで新たに6地域を3本の矢で指定)
4)設計事務所概要
  特に官庁関係事案は設計・施工分離が原則であり、常に意識しておく必要がある。
  ・組織設計会社の成り立ちと強み、金融系列等
  ・中堅・個人設計会社は戸建て、改築、改修(リニュ-アル)等に強み
5)金融機関概要
  行政・企業等の金融系列からの目線と建設業界の動きを把握(合併、倒産等与信の重要性)するとともに、顧客・
  関係先へのルート作りに重要な(融資先企業・個人紹介など)
6)品質管理運動
  企業の品質重視とその歴史を知る。国、行政及び企業が従来どのように品質向上を目指してきたか、又それによ
  り社会や業界の仕組み、構造が変革してきたかを理解する。

5.営業職がとっておきたい資格

1)宅地建物取引士
 この資格は建設、不動産に携わる営業職は、宅建業法・民法・建築関係法規の知識を得るために必須の国家資格
 でありぜひ早期に取得を目指してほしい。又、実務経験もしくは講習などにより資格取得後登録することで不動産業
 を行うことが可能
2.衛生管理士
 事業所・作業所等での安全、衛生管理に必要。

他に、マンション管理士、中小企業診断士、測量士、土地建物調査士、不動産鑑定士、税理士等専門性の高い国家
資格も担当する営業分野によっては必要となる。更に特殊な資格として、建築士(1級、2級)、再開発プランナ-等の
様に技術営業・開発営業と言われる部門で求められる資格もあり、これらも意識しておく必要がある。

◆終わりに

建設業は国の社会資本を担う重要な産業であり、全国で約50万社、500万人が業界に身を置いている。そこに従事
する一人ひとりが自らの役目をしっかり果たすことが、広い意味で国を富ますことになる。このような意識を常に持ち、ぜひ多くの若人がこの業界に参加していただく事を期待して、本講義の概要を紹介しました。

皆さん!建設業界にぜひ参加してください。けんせつ小町、ドボジョも待っていますよ。