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2015年度 第11回 素材(セメント)業界(通算67回)

平井 隆一 様  元 太平洋セメント代表取締役専務執行役員

・1973年日本セメント(当時)入社、北海道上磯工場勤務
・1975年セメント営業部に配属
・1990年国際部企画課に配属となり1995年ベトナム駐在
 として赴任
・2001年ベトナム事務所長兼ギソンセメント社長を
 はじめ、海外カンパニーバイスプレジデント、
 常務取締役海外カンパニープレジデント、
 代表取締役専務兼海外事業部長を歴任    
・2013年取締役退任、顧問
・2015年昭和電線ホールディングス社外取締役、
 現在に至る

テーマ:セメント業界の動向について

◆セメントの原料は唯一国産の天然資源

(1)セメントの主原料は「100%国産」の石灰石です。+珪石+粘土(+鉄・アルミナ)
  素材産業の中で、唯一国内資源だけで生産されている。
(2)大規模石灰石鉱山では、大型重機(100tダンプ、20m3ホイールローダー等)を利用(導入)し、
  無人化が進んでいる。
(3)資源立地:セメント工場の立地は石灰石鉱山のそば (⇔「消費地立地」)

◆セメントの需要=日本と世界

(1)日本:1990年が最高で8,600万t、その後急激に減り、近年は約半分の4,500~4,600万tの需要となっている。
     2011年に起こった東日本大災害の復興需要により一時的に盛返したが、2015年度は昨年を下回ってい  
     る。これは復興需要や公共投資の一巡、人手不足による工事の遅れ等が影響している。
(2)世界:毎年需要は伸び続けており、33億t(2010年)、アセアンやアフリカ等の伸びが大きいが、うち中国が
     13億tで1/3を占め、量・伸び率ともに突出している。

◆セメント企業の集約化=日本と世界

(1)日本:
  内需の急激な減少と見通しも良くないことから、1994~1998年に合併・集約が進み大手3社が誕生、市場の7割占
  める体制となった。
(2)世界:
  ①1997年のアジア通貨危機に乗じて、ヨーロッパのセメントメジャーがアジア各国のセメント企業を買収し、
   アジアでの地位を確立しつつある。
  ②中国企業の世界メジャー化に脅威を抱いた既存メジャーは、世界No.1とNo.2同士が合併し、90カ国に
   事業展開する4兆円企業になった。

◆セメントとコンクリート

(1)セメント+水 → セメントペースト +砂 → モルタル +砂利 → コンクリート
(2)セメントの用途の7割が生コンクリート、2割がコンクリート製品(パイル、電柱、ヒューム管、ブロック等)。
(3)生(なま)コンクリートはミキサー車で1.5時間以内に工事現場に運ばれる。
(4)生コンクリートの内需も、セメント内需と同様の推移(減少傾向)。
(5)土木向けが大幅に減少し、以前は半々だった割合が今では建築向けが大きくなった。
 これは、公共事業の縮減による。

◆セメントの商流と物流

(1)商流:メーカー →販売店・建材店/商社 → 工事業者/生コン・製品メーカー 
(2)物流:工場→タンカー→湾岸基地→トラックでユーザー/工事現場へ、が主流
(3)形態:かなり昔は袋で流通していたが、現在は殆どが撒(バラ/bulk)で流通

◆海外展開=ベトナムプロジェクト

(1)1980年代終り~1990年代初めにかけて、内需の縮小を見越して海外事業展開を開始。
 米国はM&A、中国・ベトナムは工場が建設された。
(2)ベトナム/ギソンセメント:資源の賦存、市場の将来性などから進出した。総額400億円、大型工場をゼロから建設
 しました。日本の品質と省エネ技術を移転し、マーケット獲得に成功した。総額300億円の第2期工事も実施し稼働
 済です。外資により順調に経営されている成功例のひとつです。
(3)日本No.1の太平洋セメント(連結売上高8,400億円)は米国・中国・韓国・フィリピン・ベトナム等に工場を保有して
 いる。しかし、世界メジャーと比較し1/4~5の規模です。
(4)日本のセメント企業にとって、如何に国際競争力を強化するかが今後の課題である。

◆環境保全=循環型社会構築へ(セメント産業の役割)

(1)省エネ、省資源、CO2削減を始めとして、今では各産業からの廃棄物処理産業のひとつを担っている。
  世界でもTOP水準の、セメント1tにつき450kgの廃棄物を処理している。
(2)埼玉県日高市(人口54,000人)の出すゴミ15,000t/年をセメント資源化で処理をし、結果、日高市には
  ゴミ焼却場がゼロとなっている。
(3)自動車タイヤも貴重な燃料/原料資源としている。

◆まとめ

(1)セメント会社は、今やセメントのみならず、資源、建材、不動産事業など多角化を推進すると同時に、世界展開して
  いる。
(2)今やセメント会社は、多岐に亘る産業界の廃棄物を一手に引受けて処理する「廃棄物処理産業」になっており、日
  本の産業界には無くてはならない存在になっている。
(3)今後の日本のセメント産業の課題は、巨大化する中国企業や世界メジャーに対抗して生き残るために、如何に国
  際競争力を付けるかが課題。