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2015年度 第10回 機械(プラントメーカー)業界(通算66回)

大谷 浩一 様 元 荏原製作所取締役
1965年(昭和40年)工学部機械工学科を卒業後、
荏原製作所に就職

テーマ:プラントメーカー(環境装置)において営業職はどのような役割を担うのか

◆荏原製作所がポンプメーカーからプラントメーカーへ事業領域を拡大した背景

・日本は第二次世界大戦での敗戦から立ち直り、1960年代には高度成長により国民所得も倍増し、国全体が好景気
 に沸き、行け行けドンドンの時代でした。
・しかし生産最優先の行動は、深刻な公害問題を引き起こし、国民の健康被害は拡大する一方でありました(四日市
 喘息、川崎喘息、熊本水俣病、新潟水俣病、河川の腐敗、駿河湾のヘドロ等々)。
・1965年に招集された国会は、公害国会とも呼ばれ公害基本法を始め公害規制の厳しい法律が次々と成立されまし
 た(水質汚濁防止法、大気汚染防止法、騒音・振動防止法、悪臭防止法、土壌汚染防止法、ダイオキシン規制法、
 PCB規制法等々)。
・同時に全国で起きていた公害訴訟で、加害者である企業が次々に敗訴し莫大な補償等の民事責任が課せられました。
・このため、企業は公害防止を実施しなければ存続できない状況となり、公害防止プラントの設置が急務となりました。
・荏原製作所は、創業80年の歴史をもつ日本一のポンプメーカーだったが、戦後事業拡大を図り、各種プラントを手掛
 けるようになりました。
  製塩プラント→製糖プラント→環境プラント(水処理プラトン、排ガス処理プラント、騒音防止プラント、
  土壌修復プラント、悪臭防止プラント→ごみ焼却プラント・リサイクルプラント等々)

◆プラントとは

求められた機能を発揮するために組み合わされ配置された機械類・装置・工作物などの複合体で、数百~数千という数の産業装置や機器類などからなる複雑かつ巨大な製造施設であり、所謂“工場”と呼ばれるものが殆ど含まれる。

◆エンジニアリングとは

プラントや製品を単に技術だけを基に作るのではなく、顧客の要求(機能やコスト)・使用環境・安全・環境負荷・社会への影響など全てをバランスよく最適な配分で組み合わせる仕事です。

◆プラントメーカー(環境装置)における営業職の役割

・顧客は一般消費者ではなく地方自治体や企業
・ニーズの把握と訪問営業(自社の特長をPRし計画提案をさせてもらう)
・作成した計画案の説明や討議の機会をもらう
・競合相手の手の内(提案内容と価格)を想定し、自社の提案との比較検討し作戦を練る
・具体的な引き合いが出たら総合評価に勝つための戦略をたてて計画部門や見積部門をリードする
・顧客に対するプレゼンテーションの資料作成にも深く関与する
・受注出来たら顧客と技術部門の橋渡しをしながら納期通りに建設試運転を完了させるための調整役も果たす

◆プラントメーカーにおける営業職に求められるスキルは

・プラントメーカーは、顧客の要求する諸条件を満足するために案件毎に企画・計画・見積をして顧客に提案します。
 即ち、全て受注生産であり、同じプラントを建設することはありません。
・従って、技術系社員だけでなく営業職も最適解を求めるエンジニアリング能力が必要とされます。
・技術的な(専門的な)エンジニアリングは技術職に任せれば良いが、顧客に提案する見積価格が市場価格(世間相
 場)と比較して高いのか安いのか、競合相手の強みや弱点、自社の強みや弱みを冷静に判断して、その見積価格
 に競争力があるのかを技術職と対等に渡り合って決定する能力を備えなければなりません。
・技術職は自分の計画に固執しがちでなかなか変更や修正を受け入れないが、営業職は、顧客の予算や意向を調査
 し、競合相手の情報を収集して、自社の提案が顧客に評価してもらえるか否かを判断しなければなりません。
・営業職にとって、情報収集は極めて重要な仕事となります。

◆新しい発注形態への対応

・自治体の財政難を解決するため、PFI(Private Finance Initiative)と呼ばれる民活即ち民間資金の活用プロジェクト
 が増加傾向にあります。
・これは、プラントの建設資金を民間企業が調達し(銀行借り入れ)、民間企業が建設し、一定期間(15年~20年間)
 の運営と維持管理を行い、自治体はその期間処理費用を民間企業に支払うというビジネスモデルです。
・このシステムは民間企業の自由な発想によりコストダウンが図れるというメリットが自治体サイドにはあるますが、民 間企業サイドにとっては従来型の1年~2年間の保証期間とは異なり、15年~20年間という長期間の運転を保証し
 なければならないので大変大きなリスクを背負うことになります。また、融資する銀行にとっても民間企業が倒産して
 は困るので、厳しい保証や親会社の連帯責任を求めてくることになります。
・そのため膨大な量の契約書を作成しリスクヘッジして契約することになるが、これらを担当する財務・法務・金融・契
 約などの担当者は文系社員です。企業内にこれらの専門家がいない場合は外部に委託するので、それぞれから提
 出された提案を精査し纏める役割を担うスキルが要求されます。

◆どのような人材が求められているか

・好奇心旺盛で物事に対して広く興味を持っていること
・柔軟な思考をもっていること
・協調性があること
・自分の意見を述べ、積極的に提案、改善できること
・バイタリティがあること
・たえず自己を磨き、自分を向上させる努力ができること
・リーダーシップを発揮すること
・語学アレルギーがなく、異文化・異人種の人たちと打ち解けることができること

経済発展の著しい新興国は深刻な公害に悩まされているので、日本の経験と技術を海外に輸出して環境浄化に貢献し、企業も事業拡大を図る機会が多くなる

◆皆さんへのアドバイス

○常に意欲的であれ!
○何事にも骨身を惜しむな!
○情報こそがいのち!