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2014年度 第11回 リース業界(通算53回)

赤木 勝正 様

元東銀リース株式会社 常務取締役

リースの営業

リースとは

 「リース」というのは、『リース会社が、企業などが選定した機械設備を、その企業のために比較的長期間にわたり賃貸する取引』を言います。しかし、こう言ってもイメージをつかむのは難しいでしょうから、敬愛大学が事務機器をリースで借りる場合と、自動車部品メーカーが工場に置く工作機械をリースで借りる場合を例にとって説明します。
 
 敬愛大学がプリンターをリースで借りようとした場合、まず、手に入れたいプリンターをカタログや販売店で調べて決め、次に、取引があるリース会社数社にこのプリンターをリースするためのリース料などの条件を示すよう頼みます。そして、提示されたリース条件の中から最も好ましいものを示したリース会社とリース契約を結びます。このリース会社は敬愛大学が選んだ型式のプリンターを販売店から購入し、敬愛大学へ納めさせます。敬愛大学がこのプリンターを使ってみて問題ないとなったら、確かに借り受けましたという内容の借受証をリース会社へ渡し、リース取引が開始します。このときから双方が合意したリース期間(たとえば4年間)ずっと敬愛大学は毎月リース料を支払い、この期間が終了したときにこのプリンターをリース会社へ返還します。これでリース取引は終わります。
 
 もう一つ、自動車部品メーカーが工作機械をリースで借りようとした場合は、さきほどと異なり、自動車部品メーカーは欲しい工作機械を選ぶに当たり工作機械メーカーと細かく交渉して価格はもちろん、性能や納期なども固めます。取引があるリース会社にリース条件を出してもらう時も、リース料だけではなくいろいろな提案も出してもらおうとします。 そして、リース会社を選びリース契約を結びますが、リース会社が工作機械のメーカーにこの機械を注文し、工作機械のメーカーが機械を製作して自動車部品メーカーへ納品するまで数か月から1年かかることも珍しくはないでしょう。納品後も数か月間は試運転を繰り返し、望みどおりの機械だと納得してようやく借受証が渡されます。こういう機械の場合にはリース期間も長い(たとえば7年)ことが通常で、リース期間終了後にも、返還だけでなく、まだ使いたいから再リースするとか、購入するとかのいろいろな場合があります。
 
 これらの2つの例のように、事務機器は購入金額の工面に苦労するものではないが、使い終わった後の廃棄処分や管理の手間をリース会社にやってもらう便利さのためにリースを利用する、一方で、大型の機械設備はまさに多額の購入金額の工面のために銀行借り入れをするか、あるいはリースを利用するか、を選択する、という違いがあります。

リースの営業とは

 さて、リースの仕組みを見たところでリースの営業とは何をするのかを見ていきますが、その前に「リースの特性」を3点整理しておきます。
 
 リースは、金融業の一つの形態です。従って、機械設備の借手がリース期間中にリース料を支払い続けられるか、という信用力の判断が重要なポイントです。次に、金融業ではありますが、モノを貸す(物融と言います)もので、そのモノの所有権はリース会社にあります。機械設備の種類によってはリース期間が終了したときに元の価格の3割、4割の値段で売ることができるようなモノもあり、リース会社にとってそこにビジネスチャンスがあります。3番目に、今日は説明をする時間がありませんが、リース業務は会計と税金の深い知識を持っていなければならない業務だという点です。
 
 では、リースの営業とはどういう仕事かについて見ていきます。4つに大別して、
第一は、リース顧客を発掘し、リース案件情報を獲得すること
第二は、魅力的なリース条件を提示し、その案件情報を案件獲得につなげること
第三は、しかしながら借手の中長期間の先行きまでの信用力を的確に判断し、貸し倒れ案件を掴まないこと
最後に、一旦リース取引を契約したらリース期間が終了するまで借手の状態把握に努め、事後管理をしっかり行うこと、とまとめておきます。
 
 リース顧客の発掘、リース案件情報の獲得は、営業マンの最重要任務ですが、難しいことです。顧客になってもらおうという企業はその業界の専門家ですから、リース営業マンはそういう企業から評価してもらえるだけのリース業務の専門知識を持っていなければいずれ相手にされなくなります。また、いくつものリース会社の中からリース条件を示してくれと頼まれる数社に選ばれるためには、普段から様々な提案を行うなどして関心を惹いておかなければなりません。ここで注意をして欲しいのは、言ったことは守る、ということで、一旦信頼を失うと取り返しがつかないことになります。

 魅力的なリース条件を提示するためには、リース料だけでなく、様々な提案を行うことが必要で、深いリース業務の知識を身につけていかなければなりません。得意な産業分野や機械設備分野を持つように努めることも、モノのプロになるために大切です。私が現役のころは、海外進出のお手伝いをするという提案をいつもしていましたし、部下に自動車部品業界に非常に強い男がいて顧客の企業が驚いていたものです。

 中長期間の信用力判断は極めて大切ですが、私もいくつも失敗をしており、非常に難しいものです。借手になる企業の過去数年間の業績や財務諸表を分析して判断しますが、書類だけではなく、実際にその企業へ行って社長から話を聞いたり工場などを見たりということが肝要なことです。大阪の案件で、他のリース会社から、工場を見に行けば財務諸表に載せていない資産が見つかったりする、つまり隠し財産があるということで、いわば逆粉飾ですが、そういう話を聞いたこともあります。直観的に危ない案件かもしれないと感じた場合は、止めるべきです。私にも苦い思い出があります。

最後に

 リース取引を契約したら事後管理をしっかり行う、というのは、リース期間中のリース料支払いを確保するためです。定期的にコンタクトを継続することで何か不安を感じる兆候を見つけたら対策を打つことができます。また、反対に、新しいビジネスチャンスを早くつかむことにもつながります。