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2013年度 第8回 非鉄金属業界(通算36回)

高山 重憲 様

1970年:古河電気工業入社(平塚工場配属)
1978年:本社異動
1981年~85年:海外勤務(テヘラン、バグダッド)
1995年:本社資材部長
2001年:本社取締役人事部長兼経営企画室長
2003年:同社社常務取締役
2006年:同社専務取締役
2009年:同社代表取締役専務
2010年:同社顧問
2012年:退任
2013年:1stホールディングス株式会社監査役


電線・伸銅・アルミ圧延 原料相場変動をどうコントロールするか、営業と購買の連携

非鉄金属業界とは

 非鉄金属業界(製錬、電線、伸銅、アルミ圧延など)は、国際相場商品を主原料ないし主製品(商品)とする点で、モノの売り方・買い方が他の業界とは大きく異なります。
 非鉄金属とは、鉄以外の金属すべてを指しますが、特にロンドン金属取引所(London Metal Exchange = LME )に上場されている特定の産業用非鉄金属は国際相場商品であり、具体的には 銅、錫、鉛、亜鉛、アルミ新地金、ニッケル、アルミ二次合金、銀、の8種類の金属がこれにあたります。
 従ってたとえばマグネシウムは非鉄金属ですが、LMEには上場されていないので国際相場商品ではありません(市況品と呼ばれます)。

LME上場とは

 LME上場の非鉄金属の特徴は、価格がLMEの相場で決まることです。株式の価格と似ています。
 一般に商品の価格は需給関係をベースにした市況で価格が決まります(たとえばスーパーでネギ一束何円するか)ので、決して固定価格ではなく変動するのが通例ですが、非鉄金属の場合はLMEという特定市場の限定された時間内で、プロの「場立ち」による先物取引を含めた取引で価格が決まるのが特徴です。証券取引所と同じで、ファンド筋といわれる、実需の伴わない、思惑で利益を得ようとする取引も入りますので、相場が乱高下しやすい性質を持っています。
 相場変動の実例を示しましょう。ある期間のLME相場のグラフです。

 このような価格変動をする金属を原料とし、製品の主要構成材料とする業界では、原料購買、製品売上の両局面で大きな相場変動リスクにさらされることになります。
 このリスクをどのようにして回避するかが、経営の大きな課題であり、営業部門と購買部門が連携して知恵を出し合う、腕の見せどころとなります。

相場変動リスク回避(リスクヘッジ)の基本

 ①原料購入はLME価格によることが国際ルールですから、これをはずれた買い方は出来ません(誰も売ってくれません)。従って製品を売るときもLME価格で売ることが極めて重要となります。
“モノ価格”になってしまうと、後で述べるヘッジオペレーションを適用しにくくなります。
⇒営業部門の頑張りどころ。

 ②原料は、海外からの原料運送時間や加工時間を考慮して、出荷時点より数ヶ月前に購買契約を結ぶ必要がありますが、なるべくその時点での受注量に見合った数量を購入することが重要になります。つまり受注量と購買契約料を絶えずバランスさせることが、相場変動リスク回避の基本となるのです。このためには営業部門と購買部門の緊密な連携が必要です。

 ③顧客との売買契約(原料価格決め)では、たとえば売値を受注時相場で決めるか、出荷時相場で決めるか、といった選択肢があります。受注時相場なら、その時点で受注に見合った数量の原料を購入すれば、相場均衡が取れてリスクは少なくなります。しかし、出荷時の相場で売値が決まるとなると、原料購入時点で売値の予測がつかないということなって、相場変動リスクを抱えてしまいます。

 ④そのような場合は、先物取引を利用したヘッジオペレーションというものが必要になってきます。
たとえば原料購入が今現在で、製品の出荷が3ヵ月後である場合、出荷時点の相場で売値が決まるとすると、仮に3ヵ月後に相場が下落した場合、間違いなく損失をこうむります。そこで今現在時点で3ヵ月後の先物売りを立て、3ヵ月後になったらその時点の相場で買いを立てることで、リスクを避ける方法があります。(内容は省略―――講義ではスライド上で説明)

 このように、絶えず営業部門と購買部門が連携をとり、会社全体として相場変動による損失を受けないようオペレーションする必要があります。

LMEの活用として

 上記の事を踏まえ営業マンが、原料の調達方法(どの国から買うか、どのような相場で買うか、どのように運送するか)などを熟知し、LMEという取引所の仕組みにも通じている必要があります。また顧客とのネゴにおいても、こうした知識、経験の多い少ないがモノを言ってきます。

 なお、こうした国際相場商品の取引(原料鉱石や地金の輸入、製品販売、輸出)には通常商社が深く関与します。従って、商社パーソンにとっても非鉄金属に関係する場合は、上記のような知識、経験が非常に重要となってきます。

 最後に、LMEを利用した先物取引は基本的にリスクヘッジのために行うものであり、相場変動を利用して利益を得る(=相場を張る、投機的取引)ことを考えてはなりません。実需に基づかない先物取引で大きな問題を起こした事例がたくさんあります。
 LMEはリスクヘッジにはきわめて便利な機能を持っていますが、反面使い方を誤るときわめて危険な側面をもっていることに留意しなければなりません。