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2013年度 第6回 建設機械業界(通算34回)

島田 邦夫 様

元コマツ製作所 勤務
元コマツゼノア アメリカ社長

建設機械業界の現状と課題 ~海外市場に対する建設機械の営業~

建設機械と歴史

 建設機械の種類とその使われる現場とは、例えばショベルまたはエクスカベータは一般土木や建設・建築現場で使われる。大型のブルドーザは土木の造成工事に使われる。また石炭、鉄鉱石などの大型のマイニング鉱山では大型のオフハイウエーダンプトラックが使用されています。このトラックは一般道路を走るオンハイウエーダンプトラックと異なります。20トンの積載能力から300トンの能力を持った大型のダンプトラックです。
 建設機械の歴史は1925年に米国のカリフォルニアの二つの企業が合併をしてキャタピラー社が設立され、それ以来、他が追随できない建設機械メーカとして現在まで業界首位メーカとして独走をしてきました。そのキャタピラーが1963年に日本に乗り込んできて三菱重工と合弁会社を設立しました。その頃の日本の建設機械メーカは小松製作所が首位メーカでしたが、資本力、製品力(品質、性能)においてキャタピラーに大きく見劣りしていましたが、品質を向上させることで、日本の市場で生き残ることが出来ました。

日本における生産と市場事情

 建設機械の日本における生産出荷額は建設機械工業会の公式統計で、昨年2012年で2兆円超というレベルですが、日本国内への出荷と外国への出荷実績をみると外国への輸出が65%と日本国内への出荷を大きく凌駕しています。これは建設機械の中で一番売れているショベルでも同様の傾向を示しています。しかし、2000年以前の実績に目を転じてみますと規模は1兆5千億円くらいですが、日本市場への販売が70%超と輸出販売を大きく凌駕しているという逆の傾向にありました。すなわち、最近の建設機械は海外市場への輸出が大きな比重をもっているといえます。
これを裏付けるものとして、日本の代表的なメーカであるコマツは全世界に42の生産拠点をもっていますが、日本には12拠点のみで、残る30拠点は世界のあらゆる国・地域に点在しています。また日立建機も米国大陸、アフリカ大陸、中国、アジア、大洋州に拠点を構えています。そして、世界のメーカは生き残りをかけて、提携、合併を展開しています。日本国内においても提携・合併が展開されています。このように建設機械の業界は世界市場のおいて激烈な生き残り競争を強いられています。
 これは建設機械のみならず、日本の全産業にいえることですが、全世界でEPA、FTAが提携されていきます。日本がブロックとして提携していくのはTPP、RCEP(東アジア地域の包括的経済連携)そしてFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)ですが、2020年までに締結されます。これにより世界のGDPの50%はこの経済圏でカバーされてしまうのです。
 また世界での人口、国土面積をみていくと、日本の人口は世界で10番目ですが国土面積は38万平方キロメータで世界面積のわずか0.3%でしかありません。市場という観点からみると日本市場より世界市場を相手に戦っていくべきです。時代もFTA、EPAの自由貿易圏、インタネットの発達により、情報、コミユニケションがあっという間に世界を駆け巡っていき、世界を相手にしてのビジネスに何の障害もなくなっています。

海外市場での営業

 世界を相手にビジネスをするには大きなリスクがあります。リスクは相手にする国にあるカントリーリスクとビジネスをやっていくうえでの事業面でのリスクがあります。カントリーリスクは日本国が支える保険制度がありますが、事業運営上のリスクには派遣する人間の資質が影響します。グローバルに適応出来る方々をグローバル人材と称しますが、その人材に要求される資質はコミニュケション能力、主体性・積極性などの資質面と異文化に対する対応能力の3つが指摘されます。しかし大切なことは自身の考えを持ち、それを言葉で伝えること。伝えるツールが言語ということです。異文化への対応ということですが、日本人ほど性善説にたって物事に対応していく民族は世界では珍しく、日本が国際的に異質とみられるかもしれません。
 自身の海外市場での営業というのは販売してもらうのは、その国にある企業に代理店として販売を負ってもらいますが、販売以上に大事なことはアフタサービスと部品供給です。これが貧弱であれば、機械の品質は維持されません。この強化に腐心をしてきました。しかし、私が駐在した5か国、インドネシア、イラン、ロシア、中国、米国それぞれの国でその国独自の売り方があり、すべてが一様ではありません。特に、ロシアや中国は駐在する直前までは共産主義国で購買は輸出入公団が窓口になって一手に引き受けていました。共産主義が崩壊したロシアではあらたに勃興した民間業者を代理店に指名して販売をしていく、また中国ではソ連崩壊をにらみ、経済は共産主義をやめて社会主義市場経済という理屈で市場での自由競争の時代に入ってきました。このように国々で独自の経済市場を営んでいますが、メーカがその国に直接乗り込んで販売をするわけにはいきませんから、その国で代理店を設定していくのが販売方法なのです。

私の経験から学生の皆様へ

 私の駐在経験の中で、今でも鮮明に記憶がある出来事はロシアにおけるエリツイン大統領が最高会議にこもった反大統領派を叩きのめすのに、最高会議ビルに戦車から大砲を発砲した出来事を隣のホテルから見ていたこと。またイランにおいてはイラクからミサイルが日に24発も打ち込まれ逃げまどい、最後は日本に帰国したという出来事を経験したのはいつまでも忘れられない出来事でした。このように海外にいると日本では体験できないような事態に直面します。
 最近の日本の建設機械の市場は公共建設の見通しが良いので、機械の販売見通しも良いと思います。公共建設は東北復興事業、減災対策、インフラの老朽化対策そして2020年のオリンピック工事など大型の建設が計画されています。しかし、ネックとして現場経験のある人材の不足があります。また機会販売は工事業者ではなくレンタルが中心になりますから、レンタル業者への販売が中心になります。
 最後に若い皆さんへ
  1.これからは日本に固執して企業が生きていけない時代になっています。
  2.従い、異文化へ対応できる人材になってほしい。
  3.自己の考えをキチンと持ち、それを自分の口で伝えること。
  4.日々仕事、ビジネスでは判断を迫られる。判断するには複数の選択肢を持ち、その中の一つを選択すること。   5.異文化にあっては、日本の文化に固執せずその文化に溶け込みながらも普遍的な原則はキチンと保持する。
以上の考えを贈りたい。