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2013年度 第5回 生活・サービス業界(通算33回)

山田 重生 様

元花王株式会社:取締役

就職活動に臨む学生の皆様へのアドバイス

昨今の日本経済、企業を取り巻く環境

 昨今の日本の経済や、企業を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。
例えば、世界の主要国の最近15年間のGNPの伸びを見ると、日本は全く伸びがありません。米国や韓国は2倍、ロシアや中国は5倍にもなっているのに対してです。従って日本の世界に占めるシェアは18%から9%と半減してしまいました。
 また、生産人口は8千万人を割り込み、2013年は現役世代2.5人で1人を養わなければならない、という過酷な数字になっています。こうした未曽有の厳しい環境の中で、企業が生き抜くためには、常に新しい経営戦略が必要であり、ドメイン、ミッションの見直し・確立がなされて行かねばなりません。市場や競合関係の把握・再検討をもとに、新しいパラダイムの確立が常に必要です。
 学生の皆さんが、こうした情勢や、企業がおかれた立場を本当に理解するのは、大変難しい事だと思いますが、まず、近親者、知人、学校の先輩などを訪ねて、多少でもビジネスの現場にいる人からいろいろなお話を聞くことが大切でしょう。そういう努力・経験を通じて、
 ①自分はどんな仕事がしたいのか。
 ②どういう仕事なら出来るのか
 ③どういう職場に入りたいのか
 ④仕事を通じてどんな人になりたいのか
 ⑤どんな人生を送りたいのか
といったことを、イメージとして、固めていくことが大切です。
 昨年までのニュースで、毎日のように会社訪問をして、数十社も回ったが、未だに内定が取れない学生が多いなどということが報道されていました。これはまさに悲劇で、気の毒だとは思いますが、企業側からすれば、「どこでも良いから入りたい」と言うのでは、「それでは他社に行ってくれ」、ということになります。

優秀な新人採用は最重点課題の一つ

 日本の企業はかつての「ジャパン・アズ・ナンバーワン」ともてはやされた時代とは違って、非常に厳しい現実の中で、懸命に頑張っているわ優秀な新人の採用は経営的にも、最重点課題の一つです。
 学生側からは、まず企業の競争力を確認すること、これは単に規模の大小ではなく、独自性を含めた、成長可能性とでもいえましょうか。より具体的にいえば、経営改革・革新を重視している会社かどうか、を確かめることが大切でしょう。かつて超優良会社であった「日本航空」が例えば既得権益を主張する組合活動などのせいもあって、長期低落傾向にあえいでいた時、稲盛氏という一人の優れた経営者を迎え、わずか2年で、V字回復したという例もあります。この時のポイントは
 ①社員の価値観・意識改革、(人として何が正しいかで判断する)
 ②顧客第一の経営に
 ③部門別採算制度の導入
 ④コスト意識の定着(部門別採算制度の導入)
ということでした。特別目新しい事ではありませんが、要はこれらをどれだけ徹底してやったかということだったと思います。経営改革、というのは痛みも伴いますが、そうした風土の少ない会社は多くの場合長期低落傾向に陥りやすいと言えます。そのあたりの見極めは、入社後数10年の人生を左右する最も大切なポイントではないでしょうか。

メーカーの務めとは

 花王には「アタック」という洗濯用の洗剤があり、業界でもトップの売り上げを誇っている商品ですが、この洗剤は新発売時には1個860円で売られていました。しかし他社の追随もあって、年々価格が下がり、10数年後には1個300円前後にまでなってしまいました。しかしそれでも技術革新により、品質を落とすことなく、利益は十分に出ています。 こういうことが可能になる裏には、企業の血のにじむようなコストダウンの努力があるのです。
 消費者のため、顧客のためという名分のもとに、企業の全部門がこぞって徹底的なコストダウンを常に続ける、それがメーカーの務めであり、それが出来るかどうかで企業の競争力が決まるともいえます。
 学生の皆さんには、辛気臭い話に聞こえるかも知れませんが、一生の仕事と言うものは、そういうものではないでしょうか。どんな仕事でも楽をしてうまく行っているというものは無いと思います。瞬間的にはあるかも知れませんが、長続きはしません。
 企業についてお話を聞く場合に、難しいかも知れませんが、その企業の「経営理念」についてしっかり確認することが大切だと思います。また、企業の採用担当者から聴くだけではなく、第3者からの客観的な評価、お話を聞くことも、それ以上に大切だと言うことを御理解いただきたいと思います。メーカーの場合には矢張り、技術力、商品開発力(これにはマーケティング力、販売力も含まれます)が命ですね。

最後に

 いたずらに会社訪問を繰り返すと言うのはあまり、得策ではないと思います。事前の準備をしっかりして、自分は何を、どんなふうにやりたいのか、そのためにどんな社員になりたいのか、それが出来るという自信の根拠はこういうことなのだというあたりを、しっかり説明出来ることが大切だと思います。
 学生の立場で、企業の内容が十分に分かっているという例は(学生時代からアルバイトで特定の企業に入っていたというような人は別にして)あまりないと思いますが、まず、身内や知人の企業関係者、学校の先輩(企業の社員)などを訪ね、どんな会社が良いのか、自分の能力や、好みに合う仕事は何か、と言うあたりを十分に勉強することから始めて下さい。
 故郷の縁者、先生、学校の先輩、友人の縁者、などのリストを造り、それぞれの人と旧交を温めながら、いろいろな知識や、見識を得て、じっくりと会社選びをする、ある意味では自分の人生を決める大切な節目を迎えているわけですから、1日もおろそかにせず、全知全能を傾けて戦う、時だと思います。悔いを残さずに戦って下さい。