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2013年度 第4回 映画業界(通算32回)

岡村 正郎 様

1968年:慶応大学卒
1968年:松下電工入社
1972年:マイカル入社 業務企画室長、FC事業開発部長、グループ経営管理部長、専門店事業本部長
2001年:ワーナーマイカル入社 常務管理本部長、専務取締役(総括 シニア・マネージングディレクター)
2010年:同社退任

日本の映画産業とアメリカ発のシネコン経営

アメリカ発のシネコンが日本に参入する(1993年)以前の映画産業の状況

①日本の映画興行は昭和30年代前半をピークに、東京オリンピック等を契機とするテレビの急速な普及に伴い映画館スクリーン数、観客動員数は急激に減少しました。スクリーン数はピーク時の7457が、1734と1/4、観客動員数はピーク時の11億人が130百万人と1/8となりました。

②映画業界は観客動員数の急激な減少をカバーする為に数年毎に入場料金を大幅に値上げしてきました。例えば大人の入場料金は昭和33年の130円が1993年には1800円と14倍になりました。因みに同時期の消費者物価上昇率は5倍です。入場料の大幅な値上げにより興行収入は観客動員数の減少をカバーして、同期間で700億円が1600億円と2倍以上となりました。

③当時の映画館は東宝、松竹、東映等の系列に属して、系列の製作映画のみを上映していました。1ヶ所の映画館で見たい映画を全て見る事は出来ませんでした。

④観客動員数の減少を入場料金の値上げでカバーする事は更に観客動員数の減少を招く負のスパイラルをもたらしました。その為に映画館の施設整備への投資が疎かになり、施設が劣化し、一層の観客動員数の減少を招きました。

アメリカ発シネコンの日本参入(1993年)後の変化

①ハリウッドのメジャー映画会社である「ワーナーブラザース」はヨーロッパ、オーストラリア等でシネコンビジネスの展開を図っていましたが、日本に於いても十分に成算があると考えて流通業大手の「マイカル」と合弁会社を設立し、シネコン展開を計画しました。

②シネコンの特徴は、
 Ⅰ.設備面:明るく華やかなワクワクするロビー、傾斜のあるスタジアム方式により前の人が邪魔にならない、
   横幅と前との間隔が広い椅子席、大きな画面、迫力がある音響
 Ⅱ.立地:郊外のショッピングセンターに併設、広い無料駐車場
 Ⅲ.営業時間:朝10時から深夜12時まで、夜9時からのレイトショー導入
 Ⅳ.定員入替制:定員制か総座席指定方式
 Ⅴ.入場料金:レディースデー、レイトショー割引の導入など柔軟な価格政策
 Ⅵ.上映作品:系列に属さず原則自由に選択上映

映画産業の課題

①顧客の高齢化、若者の映画離れ、携帯スマホへの支出増によるレジャー支出の減少、ネット配信による劇場離れ、ハリウッド映画の低迷等により業界が悲願とする年間観客動員数2億人がここ40年間達成出来ていません。

②世界各国の年間映画鑑賞回数は米国の4回、イギリス、フランス、韓国の3回、ドイツの2回に比べて、日本は1.2回です。原因の一つが入場料の高さにあると思われます。因みに大人料金は日本の1800円に比べて、欧米各国は6~8ドルと日本の半分以下です。価格政策は大きな課題です。

③映画ビジネスは作品によって観客動員数が大きく変化し、作品力に依存する事はある程度止むを得ません。
「映画のある生活」を提案し、「家族、友人、恋人とわくわくする時間を楽しむ」場の提供が出来なければ、観客動員数は増えません。映画を見て、買い物をして、美味しいものを食べる。映画館で映画を見る習慣をどうすれば創造出来るかが課題です。

ビジネスを通じて学んだ事

①外資系の会社で、米本国へのレポートではいつも次の3点からの説明を求められました。分かり易いスキームと思いますので、活用されたらと思います。
 ・Where are you? (どんな状況ですか)
 ・Where are you heading for? (どんな方向に行くのですか)
 ・How to get there? (具体的にはだれが、何を、いつするのですか)

②「Second effort」を出来る人は間違いなくその後の社会生活で伸びています。私の言う「Second effort」とは
 ・例えば会社から指示されたレポートは期日までに計画的に作成して、提出します。
 ・更に提出期日後であっても「これで良かったのか」考え直して、更に良い案が出れば再提案する姿勢です。勿論、時既に遅く間に合わないかも知れませんが、往々にして間に合い改善されたレポートが活用される事が多々あります。このもう一歩物事を追いかける人は会社から見て、安定感があり、信頼が厚くなります。「どこかで誰かが見てくれている」かも知れません。

③就職等の将来方向を決める前に自分自身を上記①のスキームでじっくり分析し、方向について考えてください。自分自身を分析するのは億劫で、気が進まないものですが、良い機会です。社会は急激に変化し「昨日の続きが今日、今日の続きが明日ならない」と思ってください。皆様の御健闘を期待します。