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2013年度 第3回 農業(通算31回)

酒井 尚平 様
京都大学農学部卒
丸紅入社:食糧課長
丸紅米国:副社長、食料総括部長
丸紅飼料:専務
丸紅エッグ:社長

日米の食料関係 米国大陸に深く伸びる仕入ルート

私の学生時代

 体育会活動に熱中し、勉強は熱心でなかった。四年間、体力作りと友人交流を大事にした。輝いた四年間だと確信している。本当の勉強学問は、社会人になってから、否応なくさせられる。英語が不得手で商社に入ったが、必要となれば、必死に覚えるものである。外国で知ったのは、上手な英語を話すより、相手の気持を理解するヒアリング、信頼される人間になることだった。信頼されずして仕事は出来ないし、良い仕事を通じて、出来る人間関係は宝物である。 皆さん、人生の序幕、学生生活は、体力と人間関係の基礎作りと考えて欲しい。

日本の食糧自給率

 日本の食料自給率は39%であり、海外依存が高い国、外貨を稼いで世界一の農産物輸入国になりました。農場から食卓までのサプライチェーンをお話をすると銚子のイワシが千葉市民の食卓に上がるまでのフードマイレージは数十㌔だが、味噌醤油の原料大豆、パン・スパゲッティ―の原料小麦は米国大陸の中西部から1万5千㌔以上かけて運ばれます。まず、米国の地図を眺めてみましょう。米国各州の名前と場所を知っていますか。米国大陸の農業地図も見ましょう。読書も大切ですが、地図を読むことも非常に大切です。
 私は自分の部屋に必要な地図を貼って、河川、山地、都市、産業などを覚える習慣があります。国内も海外も同じです。

米国農業発展のため

 政府は建国以来、鉄道、河川、灌漑用水の確保に、巨大な公共投資を続けてきました。カリフォルニアが、砂漠から緑豊かな地中海型農業に変貌したのは、シエラネバダからの大規模用水の貫通によるものです。ミシシッピ川のミネソタから、ニューオルリーンズまでの堰堤の建設管理は、陸軍工科部隊が行っています。米国とアジアを結ぶ要衝、パナマ運河に対する権益も厳守しています。米国は農業を『戦略物資』と捉えています。
 戦略とは、外交、軍事と並ぶ位置付けになります。米国で穀物の仕事をして痛感したのは、米国の農政、米国で事業を続けるためには、守らなければならない法律、業界各分野から理解される説明責任がいかに大切かということです。そのための勉強、知識習得は大学では得られません。商社が穀物の仕入ルートを米国内部に深く伸ばすために、多くの担当者が、ワシントンの米国農務省、シカゴやニューヨークの商品取引所での経験と、米国からグローバル市場への販売実績を重ねました。私も経験するのに在米10年が必要でした。

穀物取引をするには

 米国での穀物取引を日本企業が始めるのは、『ヒト』、『モノ』、『カネ』の投資が必要です。
  『ヒト』→穀物トレーダーの育成には、農政、生産、物流、貿易実務・法律の習得が必要ですが、日本人社員に限らず、現地社員、内外の取引ネットワークでの人脈作りは大切になります。取引や業績向上に人間の信頼関係は基本です。生産地や物流に強い人材、グローバル市場で信頼を売るセールスに強い人材、リスク管理に通じた人材、そしてリーダー、それらの集合したソフトパワーが求められます。
  『モノ』→貯蔵、物流、世界に向けた輸出積出施設、システム管理などに巨額な投資が必要です。当初は手頃なシステムでの実績を重ね、M&A、提携などで大型化します。生産地米国での投資に止まらず、南米などの他供給国への展開、アジアなど急成長する市場へのアクセス拡大も必要となります。
  『カネ』→初期投資でも、難しい経営判断が迫られますが、ハード・ソフト、仕入・販売が大型化するにつれ、投資額は巨額になり、長期的経営判断が、求められます。

最後に

 日本の人口減、低成長から、日本企業がグローバル化する背景、食料自給率39%は貿易立国だからできることです。また国産米や自国食品の有効活用が、「食の安全保障」につながることなどが強調できます。