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改善進む!千葉県における教員の働き方改革


教員の働き方改革は、日本の教育現場における大きな課題の一つです。2014年、OECDの調査により、日本の中学校教員の労働時間は加盟国中最も長いことが明らかとなりました。部活動や生徒指導など多岐にわたる業務が、過労死ラインを超える残業をもたらしています。この厳しい状況に対処するため、2014年から始まった教員の働き方改革は現在、教員の労働時間の削減と教員の意識改革の両面で改善・改革が進んでいます。

大きく改善する教員の働く環境

「教職実践演習」担当の経済学部の中村敏行教授

1月22日(月)、「教職実践演習」の授業にて、経済学部の中村敏行教授が「教員の働き方改革」をテーマに講義を行い、中・高社会科や英語科教員を目指す学生たちが参加しました。中村教授は、千葉県教育庁で政策決定の現場にいた経験を活かし、教育行政がどのような考えのもとで改革を進めているのか詳細に説明しました。

中村教授は、日本の教員が担う業務の多さと、それに伴う長時間労働の問題を指摘しました。特に、部活動や生徒指導、授業準備など、教員の仕事は時間内に収まらない量です。教員の長時間労働が「定額働かせ放題」と批判される背景には、昭和40年代に決定された給与体系が現代の実態に合っていないことが挙げられます。

このような状況を踏まえ、国においては、平成31年に設置された「学校における働き方改革特別部会」の答申に基づき、教員の14種類の業務を見直す動きが進んでいます。この中で、教員が行うべきでない業務や、削減すべき内容が明確にされました。例えば、PTA会費の徴収やボランティアの連絡調整、登下校の見守り活動などは教員の主要業務から外され、より教育に集中できる環境が整備されつつあります。

さらに、教員の時間外労働に法的な規制がかけられ、月45時間、年間360時間を超えないことが義務付けられました。これは一般的な会社員と同じ基準であり、心身ともに健康な教員が子供を教育するという基盤が整いつつあります。

千葉県では、この国の動きに遅れることなく、教員の働き方改革を進めています。当時、千葉県教育庁の要職を担っていた中村教授は、教員の働き方改革を「こどもと向き合う時間の確保」のためであると規定しました。この考えを軸に、不要な仕事の整理を進めていった結果、月間80時間の時間外労働をしていた教員の割合が令和4年度の調査によると、中学校では10%、高等学校では20%と大きく減少し、改善傾向にあります。
しかし、いまだ教員が長時間勤務をしているのも事実です。教員自身の意識改革はもとより、長時間労働を求める保護者の意識も変革が求められます。中村教授は教員を目指す学生たちに「心や体の健康を損なわず、授業や生徒と向き合う時間を確保することが重要である」と訴えました。

北総地区と東葛地区の現状を教育庁担当者に直接聴く

第二部では、北総地区と東葛地区における教員の働き方改革の現状について、教育事務所の管理主事等から詳細な説明がありました。その後、同地区で中学校・高等学校の教員を目指す学生たちとの相談会が実施され、学生たちは自らの疑問や不安を直接担当者に尋ねる機会となりました。

報告:IR・広報室