グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  TOPICS >  『運輸と経済』 「富裕層観光は観光回復の切り札になりうるか」廻教授(国際学部)、「シン・鉄道物流」根本教授(経済学部)

『運輸と経済』 「富裕層観光は観光回復の切り札になりうるか」廻教授(国際学部)、「シン・鉄道物流」根本教授(経済学部)



月刊誌『運輸と経済』にて、国際学部 廻洋子特任教授によるコラムが連載されています。観光マーケティング、観光政策を専門分野とする廻教授のコラムは、観光の現状と課題を俯瞰しつつ、現場の視点で新しい観光産業のあり方を考察していく内容です。「鉄道150年」を特集する今号は、経済学部 根本敏則教授による「シン・鉄道物流」の記事も掲載されています。
本書は、敬愛大学3号館3F メディアセンター図書館の雑誌コーナーにて、自由に閲覧できます。観光・旅行業界や、物流業界に興味のある学生の皆さんは、ぜひ手に取ってみてください。業界への理解が深まります。

「富裕層観光は観光回復の切り札になりうるか」廻教授(国際学部)

「運輸と経済」2022年10月号
※許可を得て掲載しています

4回目となる10月号(p.134-138)の記事は「富裕層観光は観光回復の切り札になりうるか」と題し、富裕層をターゲットにした観光マーケティングの可能性についてを様々な角度から論じています。
コロナ禍で低迷した旅行業、観光業ですが、欧米ではすでに回復の兆しを見せているようです。しかし、ウィズコロナを意識した旅行をする必要があることに加え、2022年に入って急速に進んだインフレや燃料費の上昇等が、業界の活性化を妨げています。このような背景から、個人の負担する旅行費用が上昇することは避けられず、富裕層をターゲットにした観光施策が、観光業回復の牽引役になりそうです。
コロナ禍のダメージで多くのLCC(Low Cost Carrier,格安航空会社)が倒産するなど、航空輸送力が制限された今、一般人に比べて旅行意欲の高いと言われる富裕層をターゲットにした世界の富裕旅行市場が拡大傾向にあります。我が国の観光戦略検討委員会の報告書によると、中国や東南アジア、中東地域の富裕層をターゲットとすることが、上質なインバウンド観光サービスの創出につながるという見解があります。
そのためには、それぞれ背景の異なる国々の富裕層が望む旅を提供できるよう、プランのカスタマイズが必要になるなど、様々な課題が残されています。日本では、富裕層向けの宿泊施設の不足のほか、プライベートジェットやヘリコプター利用の難しさも指摘されています。
富裕旅行市場におけるマーケティングでは、様々な富裕層のセグメントや、志向・行動の分析などを行い、合致するコンテンツの創出を行う必要があるそうです。廻教授は「富裕層観光成功のカギは、贅沢の何たるかを知っている「人」である」とし、ラグジュアリーなサービスを理解し、それを提供できる優れた人材を有することが必要であると述べています。

「シン・鉄道物流」根本教授(経済学部)

経済政策や交通経済学を専門としている経済学部根本教授は、「シン・鉄道物流」と称した新しい鉄道のあり方について論じています(p.120)。国鉄時代の1970年、日本の鉄道は624億トンキロの貨物を輸送していましたが、2020年は180億トンキロに減少しました。我が国が国際公約した2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、二酸化炭素排出量の約11%を占める物流分野の対策が急がれており、その一つとして、トラック輸送を鉄道・内航海運へシフトしていくことが挙げられているそうです。
根本教授は、2022年7月に発表された「今後の鉄道物流の在り方に関する検討会」の中間とりまとめで、貨物専用車両による高頻度高速輸送の可能性について記載されていることに触れ、これが2050年の鉄道物流を考えるヒントとなるのではないかと述べています。地方部では人口減少が進むことも予想されるため、物流・人流の窮状を救う希望の光として、貨物新幹線の活躍が期待されます。