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「第3回英語教師授業力ブラッシュアップセミナー」を開催


敬愛大学地域連携センターでは、去る8月19・20日に「第3回英語教師授業力ブラッシュアップセミナー」(協力:敬愛大学英語教育開発センター、後援:千葉県教育委員会、千葉市教育委員会、千葉県私立中学高等学校協会)を開催いたしました。
本セミナーは、2020年度から全面実施、中学校では2021年度から全面実施、高等学校では2022年度から年次進行で始まる次期学習指導要領の着実な実施に向け、同学習指導要領で求められている「主体的・対話的で深い学び」を外国語(英語)教育の側面から実現するために必要な知識とともに、授業で活用できる実践的な情報を提供させていただくことを目的に開催。3年目となる今回のセミナーでは、優れた英語教育を実践されている講師陣をお招きし、中・高等学校だけでなく小学校においても役に立つ授業実践や具体的な授業のヒントを提供いたしました。
2日間の参加者は、のべ170名。現役小・中・高英語教員に混じって、本学教職課程の学生たちも学ばせていただきました。

第1日目 小学校編

◆基調講演
「『We Can!』がなくても、"We Can!" ~これからの小学校英語教育に求められること」をテーマに、本学英語教育開発センター長の向後秀明教授からお話しいただきました。
小学校外国語科では、半年後の2020年度からは教科書を使用して授業を行うことになります。学習指導要領の先行実施期間は、多くの小学校で文部科学省が作成した教材 “We Can!” が用いられてきましたが、すでに多くの教科書が執筆され、地区によっては教育委員会単位での採択も終えたところもあるようです。しかし"We Can!"がなくなっても恐れることはなく、これまでに先生方が積み重ねてきたことは教科書を使った授業でも必ず生かすことができますし、新たな教材とともに授業の可能性はさらに広がっていくはずです。同時に、英語の専門家ではない小学校教員であっても、英語力そのものをつけることと、第二言語習得理論に沿って指導する力を身に付けることは非常に重要になってきます。この大きな変化をする時期に、小学校教員は最低限何を理解しておくべきか、その理解に基づいて具体的にどのような実践が求められるかを、考える講演となりました。
なお講演は、日本語と英語の両方を用いて行われました。

◆授業実践(小学校)
「これで大丈夫!  教師と児童が共に楽しく進める英語授業を創造する」のテーマで、豊嶋朗子先生(都留文科大学語学教育センター准教授)、佐藤裕子先生 (船橋市教育委員会指導課)、林次郎先生(敬愛大学国際学部特任教授)、佐藤佳子先生(敬愛大学国際学部准教授)の4人に、リレー形式の講座を実施していただきました。
来年2020年度から完全実施される新学習指導要領。全国各地の小学校では、従来の外国語活動に加え、教科としての外国語科への取り組みが進んでいます。そうした中で文部科学省からのサポート教材を手にしながら、毎回の英語の授業の運営に苦労されている先生方も沢山いらっしゃると聞きます。小学校英語の授業は児童の興味・関心を引き出し、それぞれの場面、状況での必然性を与えながら児童が笑顔で元気いっぱいのコミュニケーション活動を進められるように展開するべきでという考えから、参加された方々にはワークショップの中で実践しながら、小学校英語授業の在り方を考える機会としていただきました。

第2日目 中・高等学校編

◆基調講演
「中・高英語教育、本当に変えますか、このままいっちゃいますか? ― 試される教員の本気度」のテーマで向後秀明先生(敬愛大学英語教育開発センター長、国際学部教授)からお話しいただきました。
鮮烈なタイトルからもわかるとおり、教員の「本気度」が試される時期が来ました。小学校における英語教育と比べると、中・高等学校の英語教育改善はかなり遅れているということはないでしょうか、と提起。学習指導要領は改訂され、解説も公表された。では実際にそれを運用する先生方の姿勢はどうなのか。「忙しくてそれどころではない」、「今までのやり方で“結果”を出してきているので変える必要はない」。わからなくもないのですが、本当にそれでいいのでしょうか。
英語教師は何のために英語教育に携わっているのか。近い将来、日本社会はどのように変化し、英語の立ち位置はどうなり、生徒たちは変化に対してどのように立ち向かっていくことが求められるのか。そのような根本的な問題に触れつつ、同時に授業指導や学習評価で何を変えなければならないかを考える機会となりました。
なお講演は、全て英語で行われました。

◆授業実践(中学校)
「『基本文を学習していないから読めない、話せない』 ここから考え直してみませんか」のテーマで、吉澤孝幸先生(秋田県立秋田南高等学校中等部教諭)に報告をしていただきました。吉澤先生は、2018年度のパーマー賞受賞者でもいらっしゃいます。
これまで多くの授業では、単語や基本文が学習済みという「大前提」の基に言語活動が行われてきましたが、中学校における英語教育の抜本的な改革を考えた時に、まずコミュニケーションから入り、その中で言語形式への気付きを促すという帰納的な指導を行うことが必要になってくるというお考えから、「聞いたり読んだりした内容を口頭で伝えた上で、意見や経験等を伝え合う」活動を切り口とし、それを中1から中3まで通した実践を映像と共に紹介していただきました。この実践は、中学校新学習指導要領の特に「話すこと(やり取り)」に示された考え方や目標及び言語活動と共通する点が多いそうです。
小学校で教科外国語を経験した子どもたちを受け入れ、言語活動が高度化する高等学校へ送り出していく中学校の使命は大きく、今後中学校が「扇の要」となるためには何が必要かを考える機会になりました。

◆授業実践(高等学校)
「『枠にはめない』授業スタイルが、生徒を主体的で深い学びへと導く」のテーマで、渡邉裕子先生(千葉県立千葉南高等学校教諭)に発表していただきました。
渡邉先生によれば、ご自身の授業スタイルが大きく変わったのは、「授業では授業の中でしかできないことを扱うべきである」という考えに基づいてこれまでの実践を振り返り始めた時だそうです。この視点でワークシートや言語活動を見直され、活動の目的は何であるか、コミュニケーション能力の育成につながっているか、授業の中でしかできないことかどうかといった点で改善に努められたそうです。また以前は、1つしかない答えを確認し合ったり、「これぐらいできるようになってほしい」という私の期待を反映させた活動を多く行っていたりしたことにも気が付いたそうです。
前半ではその授業改善の中身を紹介していただき、後半は「誰もが技能統合型の授業を行えるようにするために、英語教員が持つべき資質とは何か」について、参加した先生方と意見交換を行いました。
向後先生をはじめとする講師陣の熱が多くの受講者にも乗り移り、英語教育への情熱の熱気で満ちあふれた2日間となりました。
地域連携センターでは、今後もブラッシュアップセミナーを継続するだけでなく、小学校から中学校、中学校から高校、また高校から大学といった橋渡し的研修の企画はもとより、生涯学習講座の現役教員向けプログラムの開発など、今後も様々な検討を進めてまいります。
講師の皆様、またご参加いただきました皆様、誠にありがとうございました。

(地域連携センター)