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ホーム  > トピックス  > 2014年度の宮城ボランティアを実施しました

2014年度の宮城ボランティアを実施しました

 今年で4回目となる、東日本大震災被災地へのボランティア活動(宮城ボランティア)を8月9日(土)~11日(月)に実施しました。今年は43名の学生と5名の教員が、宮城県名取市にある愛島(めでしま)東部仮設住宅を訪問しました。同住宅には津波により甚大な被害を受けた閖上(ゆりあげ)地区の住民の方々が多数居住されており、今回が4回目の訪問になります。震災から3年以上が経過して、物質的な支援よりも心のケアが必要であるとの話をうかがい、今回のボランティアは被災者の方との交流に重点を置いて行われました。
 以下、時系列に沿って、簡単に活動の様子をご紹介します。


尚絅学院大学/生涯学習センター訪問(9日夕方)

 到着後、今回のボランティア活動を支援していただいている、尚絅学院大学の生涯学習センターを訪問しました。まず、閖上地区で津波に遭遇し、ぎりぎりのところを生還した川島セツ子さんから体験談をうかがいました。あまりに生なましすぎる内容で、まるでその場に居合わせているかのような、臨場感あふれるお話でした。
 その後で、生涯学習センターの佐々木先生に、防災について考えるワークショップをしていただきました。学生たちは5~6名のグループに分かれ、各自が出した意見やアイデアをグループ全員で集約していきます。最初は慣れないグループワークに戸惑いを見せる学生も多く、どうなることかと思いましたが、最後にはほとんどのグループが、なかなかよくできたプレゼンテーションを見せてくれました。

閖上地区訪問(10日午前)

 2日目はまず、津波により壊滅的な被害を受けた閖上地区を訪問しました。14名の生徒が犠牲となり、2時46分で止まったままの時計が残る閖上中学校で、語り部の長沼俊幸さんと落ち合い、まずは校舎の中を見学します。次いで、バスに乗って一周しながら、長沼さんの体験談に耳を傾けました。非常に話がお上手で、よくできた物語でも聞いているような錯覚に一瞬陥りそうになりますが、身近にいた方が大勢亡くなった話が次から次に出てきて、実際に起こったことなのだという現実に引き戻されます。長沼さんご一家は奇跡的に全員が助かったそうですが、亡くなられた方との違いは紙一重ほどもなかったそうで、「自分が生かされたのは、こうして体験したことを伝えるためだと思う」と何度もおっしゃっていたのが、印象的でした。
 川島さんと長沼さんにお話をうかがい、閖上地区を目の当たりにしたことで、学生たちはこれから訪れる仮設住宅に住む人々が、どんなに過酷な経験をしたのか、まざまざと思い知ることになったようです。出発当初と比べると明らかに表情が変わり、ぐっと真剣な顔つきになっていました。

愛島東部仮設住宅訪問(10日午後)

 台風11号の影響で宮城県地方は朝から雨、午後はさらに天候の悪化が予想されたことから、慰霊イベントの「キャンドルナイト」が中止になり、当初2グループに分かれて行動する予定だった学生たちは、全員が仮設住宅での交流行事に参加することになりました。
 まずは、半数の学生が会場の準備をする一方、残りの半数がそれぞれのお宅を手分けして訪問し、「今年も千葉県からやってきました。茶話会をしますので、どうぞお越しください」というメッセージを伝えていきます。開始時刻になっても誰も来ないので、悪天候だから駄目なのかな…と思い始めた頃、ようやく最初の来訪者があり、それからは五月雨式にやってきて、最終的には約20名の住民の方に参加していただきました。住民の方を何人かの学生で囲むようにして座り、おしゃべりを始めましたが、ふと気がつくと人生経験豊富な住民の方のペースにすっかり巻き込まれており、あちこちで話に花が咲き、笑い声の絶えない、大変賑やかな会になりました。中にはあや取りや折り紙が得意で、学生にいろいろと技を伝授してくださった方もいたようです。
 後半は尚絅学院大学の庄司先生の綾小路きみまろ風?の軽妙な司会で、突如演芸大会が始まりました。まずは、体をほぐすためのラジオ体操…ですが、何とこれが宮城弁によるナレーション付きで、笑わずにはいられない代物。続いて住民の遠藤さんによる、ハーモニカのミニコンサートの後、「愛島ダンサーズ」による息の合った踊りが披露されました。皆さん、鳴子を用意してきており、最初から踊る気満々だったようです。「きよしのズンドコ節」が始まると、学生たちも次々と踊りの輪に引きずり込まれていき、最後は全員入り乱れての盆踊り大会になりました。トリを飾ったのは、二つの大学の「スーパースター」によるパフォーマンスです。尚絅学院大学の中里君が巧みなダンスを披露すると、敬愛大学の菅井君も負けじと美声を張り上げます。最後は菅井君の歌に合わせて即興で中里君が踊ってみせるという、夢の競演が実現しました。ふと気がつけば、予定の時間を大幅に超過しており、非常に名残惜しくはありましたが、翌日の再会を約束してお開きとなりました。
 学生の数が倍に増えたことで、住民の方との交流会が大いに盛り上がり、台風による予定の変更が、思わぬ「功名」をもたらすことになったかもしれません(台風の被害に遭われた方には心よりお見舞い申し上げます)。

愛島東部仮設住宅再訪(11日午前)

 最終日は仮設住宅を再び訪れ、住民の方との交流をさらに深めることにしました。この日のために準備してきたことを、精一杯出し切ることができるでしょうか?うれしいことに、前日来ていただいた方はほぼ全員が、また来てくださいました。まずは、住民の方と学生がチームを組んでのクイズ大会です。中には難しい問題もあったはずですが、いろいろな所からヒントや正解が聞こえてきて、ほとんどのチームが正解を出し続ける、ハイレベルな争いになりました。結局8チーム中6チームが全問正解で、賞品のお菓子をめぐって壮絶なじゃんけんバトルが繰り広げられました。
 休憩をはさんで後半が始まると、いきなり凶悪な覆面を被った3人組が乱入してきて、か弱い?女子学生をいじめようとします。会場が緊張に包まれますが、そこに「水戸黄門」ご一行が登場して一件落着。実は有志によるショートコントでした。会場が一気に盛り上がったところで、この日のために一生懸命練習してきた歌を披露します。一曲目は、復興ソングの「花は咲く」。4つのパートに分かれて歌うので、少ない人数で果たして大きな声で歌えるのか、最初は不安いっぱいでしたが、さんざん練習を重ね、さらに住民の方との絆が深まったことで、杞憂に終わりました。2曲目は「上を向いて歩こう」。奇しくも坂本九さんの命日の前日に、住民の方と学生が一緒に歌うことになりました。最後が「世界に一つだけの花」。一番の歌詞を歌った後、最後のサビの部分を歌い、後は延々と「ララーラ、ラーララ、ラーラララーラ♪ ララーラ、ラーララ、ラーラーラー♪」を繰り返します。果てしなく続くかと思われましたが、最高潮に達したところで、歌い納めとなりました。
 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、予定の時刻をとうに過ぎてしまっていましたが、あちこちで写真を撮影する姿が絶えません。全員で記念撮影をし、「愛島ダンサーズ」による返礼の踊りを見せていただいて、ようやくお開きとなりました。昼食を済ませて外に出ると、大勢の住民の方が見送りのために待っていてくださり、後ろ髪を引かれる思いで仮設住宅を後にしました。中には別れに泣き出す学生もおり、今回の訪問が大成功に終わったことを物語っていました。被災者の方を元気づけるつもりで訪れたのに、逆に私たちが元気をもらって帰ることになりました。
(文責:大月隆成)