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ホーム >  教育学部News >  発達がゆっくりな子供への指導案作りの方法とは? 民間企業からノウハウを学ぶ

発達がゆっくりな子供への指導案作りの方法とは? 民間企業からノウハウを学ぶ



小学校教育の現場には様々な個性をもった子供がおり、学びの早さや得意なことはそれぞれ異なります。発達がゆっくりな子供や一般的な教育法では学びづらい子供への教育はどのように行えばよいのでしょうか。

「学生が教壇に立つ前に、特別支援のあり方について学ぶ機会をもっとつくりたい」と考える阿部准教授は、全国139拠点で発達の気になる子供たちへの個別指導を行っているLITALICOジュニアへ協力を依頼。阿部ゼミの3・4年生が2日間の日程で「新入社員研修」というテーマで特別ゼミを行いました。今回、研修を受け持っていただいたのはLITALICOジュニア関東第5グループのちい先生、ゆかこ先生、しょうた先生です。

利他と利己 どちらも大切に

最初に、教員になりたいと思った理由を、LITALICOの社名の由来となった「利他」的理由と「利己」的理由に分けて考えていきました。ゼミ生の回答を見ると「自分の学んできたことや経験を子供に受け渡したい」などを利他的理由に挙げ、「社会的に認められた職に就きたい」「長い夏休みを利用して旅行に行きたい」などを利己的理由に挙げていました。

特別支援教育の現場には利他的な性格の人が集まることが多いと言われます。しかし、自分に余裕がなくなると他者のことを考える余裕ができません。LITALICOジュニア(関東第5グループ)では利他と利己、どちらも大切にできているか、事あるごとに自己を見つめ直しているそうです。小学校の教育現場でも参考になる考え方です。

一人ひとりの子供の個性に合わせた教育方法

LITALICOジュニアでは一人ひとりの子供の個性に合わせて、一つひとつ子供のできることを増やしていきます。初日はこの授業づくりの方法を理論的・実践的に学んでいきました。
授業づくりで大切なのはアセスメント(情報収集と分析)です。適切なアセスメントをとることで、成功させたい行動に対して動機付けや環境要因、ヒントを導くことができます。さらに、その行動の結果を記録していくことで、次の指導に生かしていきます。子供が成功するためには、集中力を乱すような環境要因を排除したり、褒め方を変えてみたり、ヒントの出し方を変えてみたりと、事前の環境調整が大切です。そして、指導後には課題を分析し、改善につなげていきます。

実際の指導の様子を再現

実際の指導の様子をちい先生が先生役、ゆかこ先生が子供役となり再現します。学生たちは、指導の中にどのような動機付けやヒントがあったのか読み取っていきます。

実際に学生が指導案を作る

次に学生たちが指導案をつくります。これまで学んだことをまとめて成功させたい行動、動機付け、ヒント、環境を自由に考えていきます。写真では「食べる前に手指の消毒をする」という行動を「食べ物のおもちゃで遊ぶこと」「リズムに合わせて楽しく消毒液をプッシュすること」で動機付けし、イラストを使ってヒントを与えています。

LITALICOジュニア八千代台教室を訪問

2日目はLITALICOジュニア八千代台教室を訪問しました。施設を見学した後、より実践的な授業づくりに挑戦しました。今回はちい先生、ゆかこ先生、しょうた先生が実際の児童の事例を基に子供役を演じます。今回目標とする行動はその子が苦手とする行動です。子供たちの好き・楽しい・得意・苦手などの基礎情報を見ながら学生それぞれが制限時間以内に指導案を作っていきます。
「一桁の足し算の指導案」を作る学生たちは、算数が苦手で足し算のプリントを出されると教室から逃げてしまう子供を演じる ちい先生に苦戦。八千代台教室の先生方のアドバイスを受け、指導案を修正し、動機付けやヒントの与え方を改善していきます。2回目には見事数字への抵抗感を和らげることに成功します。

1回目実施後、八千代台教室の先生方と改善点を見つける

指導案を改善し2回目のチェレンジ!


2日間の研修を通して阿部ゼミの学生たちは一人ひとりに合わせた授業づくりを学ぶことができました。しかし、ベテランの先生方でもうまくいかないことがあるといいます。行動を成功させるヒントは子供自身にあります。子供の好き・楽しい・得意・苦手などの特性をよく観察し、常に分析・改善していくことが大切なのです。

報告:IR・広報室

人形を使って「お友達に自分の意見を言う」行動を引き出す

学生同士で議論しながら指導案を作っていく