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【おススメ授業】放射線の姿を飛行機雲のように観測しよう ~映える理科実験術で放射線を学ぶ~


12/10(金)、「理科(担当:小林輝明准教授)」の時間に、東京都千代田区にある科学技術館(日本科学技術振興財団)の人財育成部エネルギー・環境グループリーダーである掛布智久氏をお招きし、「放射線」についての授業を実演していただきました。
教育現場では、福島第一原子力発電所の事故当時、放射線への誤解から多くの偏見や差別が起こりました。放射線は人の目には見ることができないからこそ、余計に恐怖や不安が掻き立てられるものなのかもしれません。今回は、そんな放射線が通った跡を小学校理科の授業で行えるような道具で観測し、正しく放射線を理解しようという試みです。

身近な現象からわかりやすく伝える

放射線の観測にはノーベル賞受賞者のチャールズ・ウィルソンが考案した「霧箱」を使用します。この霧箱はドライアイスやシャーレ、エタノール、懐中電灯などの簡単に手に入る材料で作成することができますが、その原理は少々難解です。

ぶどうジュースにドライアイスを入れても煙が立つことを確認
(科学技術館の掛布智久氏)

掛布氏が最初に行ったのはドライアイスを水や油に入れる実験です。なぜ放射線とドライアイスが関係あるかと思うかもしれませんが、難しい現象も身近で起こる現象から理解するのが「児童にもわかりやすく伝える」ポイントです。実験では、水にドライアイスに入れたときに発生した白い煙が、油に入れたときには発生しませんでした。このことから、白い煙の発生には水が必要であり、煙の正体は雲のような状態となった水であることがわかります。

砕いたドライアイスで雲を発生させる実験

「ドライアイスのように冷たく」、「水が豊富(水蒸気の過飽和状態)」という条件は、高高度の空も同じです。このような条件下では、少しの刺激で雲が発生します。高高度を飛ぶ飛行機によって発生した飛行機雲と同じように、容器の中をドライアイスで冷却し、エタノールで過飽和状態を作り出せば、肉眼では見えない放射線も霧箱内を通った時の刺激で、放射線の‟飛行機雲“を作り出すことができます。この仕組みを利用したのが霧箱です。

霧箱を作り、放射線の軌跡を観測!

いよいよ霧箱づくりです。こども教育学科の学生たち一人一人に霧箱の材料が渡され、一から霧箱を作りました。今回はモナズ石やラドンなどの放射性物質を霧箱で観察します。教室を暗くし懐中電灯で霧箱を照らすと、白い筋がたびたび現れます。学生たちは時折歓声をあげながら夢中になって放射線の軌跡を見つめていました。このような「一人一人が」「身近なものを使って」「普段目にすることのできない」貴重な理科実験を経験した学生たちは、大いに授業づくりの参考になったかと思います。

気体のラドンから発生した放射線が白い筋として観測できる


他にも、放射線と放射能、放射性物質の意味や、外部被曝・内部被曝の違い、そして誤った知識によって教育現場で起きた差別や偏見の歴史など、放射線に関するさまざまな知識を学びました。掛布氏は、「理学や物理学の授業ではなく、放射線の軌跡を直接観察する授業を教育学部で実施することは大変珍しい」「社会に出れば科学の目をもって社会の課題に対応する必要が出てきます。理科を専門にしなくても、科学的に考えられるような教師になって欲しい」と学生たちに期待を込めて出前授業を締めくくりました。

報告:IR・広報室

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