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ホーム  > トピックス  > 2015年度の宮城ボランティアを実施しました

2015年度の宮城ボランティアを実施しました

 今年で5回目となる宮城県名取市へのボランティアを、8月9日(日)~11日(火)の3日間に実施しました。今回も同市愛島(めでしま)にある仮設住宅を訪問させていただき、住民の方と交流を持つことができました。お世話になった住民の皆様や尚絅学院大学の皆様に、この場を借りてお礼申し上げます。
 以下で、47名の学生と5名の引率教員が参加したボランティアの様子を簡単に紹介させていただきます。


8月9日(日)

閖上地区訪問

「閖上の記憶」隣りの慰霊碑の前で

 朝8時過ぎに千葉を出て、午後4時前に名取市閖上地区に到着しました。尚絅学院大学の庄司先生と水田先生に案内していただき、日和山、閖上の記憶、閖上さいかい市場、閖上中学校などを見学しました。閖上地区では災害公営住宅の建設に向けて盛り土工事が始まっていましたが、住宅が完成し人々が住むようになるまでには、まだまだ時間がかかりそうだという話でした。その工事のため、閖上中学校は取り壊されることが決まり、同中学校にあった慰霊碑は、日和山の近くに移転した「閖上の記憶」の隣りに移されていました。学生たちは同所で震災当時の生々しい映像を見て、衝撃を受けていました。

キャンドルナイト参加

キャンドルに火を灯す

 閖上地区を見学した後、閖上小学校で行われたキャンドルナイトに参加しました。キャンドルナイトは閖上地区で毎年、お盆の時期に行われている慰霊イベントですが、昨年は台風の影響で中止になり、参加することができませんでした。到着した時はほとんど準備が終わっている段階でしたが、まだ火がついていないキャンドルがいくつかあり、火を灯すお手伝いをさせていただきました。また、キャンドルナイト終了後は、後片付けを手伝わせていただきました。キャンドルナイトを主催しているのは閖上地区に住んでいた住民の方ですが、元の住民の方の中には閖上地区に怖くて来ることができない人も少なくないそうで、参加者の数は決して多くありません。一人でも多くの人に参加してほしいという期待に、多少なりとも応えることができたのであれば、うれしい限りです。

8月10日(月)

愛島東部仮設住宅訪問(午前の部)

完成したちぎり絵

 2日目は、朝から愛島にある仮設住宅を訪問しました。到着するとラジオ体操を終えた住民の方が、集会場で待っていてくださいました。昨年もお会いした懐かしい顔がいくつも見えます。もっとも、今回初めて参加した学生(実に47名中42名がそうでした)にとっては、初対面だったわけですが。敬愛大学としては5回目の訪問になり、住民の方に今年もまた来てくれてありがとうと、暖かく迎えていただきました。
 午前中の活動は大きく2班に分かれ、ちぎり絵・写真立て班の学生は、住民の方と一緒にちぎり絵や写真立て作りに取り組みました。ちぎり絵は用意してきた下絵の上に、ちぎった折り紙や千代紙をのりで貼り付けていきます。しばらくして、ご覧のような作品が完成しました。また、写真立ては好きな色や柄のフレームを作った後、そのフレームに様々な飾りを接着剤で付けて仕上げます。この日撮影した写真の中からよく撮れたものを送らせていただきますので、飾っていただだければ幸いです。
 一方、残りの学生は一軒ずつお宅を訪問して、交流会にお誘いするとともに、何かお困りのことやお手伝いできることがないか、聞いて回りました。窓やエアコンのフィルターの掃除を依頼された者もいれば、住宅の間の通路の草むしりをする者もいました。予定よりは早目に終了したので、午後にアカペラや寸劇を披露する予定の学生は、空いた時間を利用して最後のリハーサルを行いました。

愛島東部仮設住宅訪問(午後の部)

交流会の様子

 昼食の後は、全員で住民の方との交流会を行いました。午前中に比べて人数が増えたこともあり、部屋の中は相当な暑さでしたが、それに負けないほど賑やかで笑い声の絶えない会になりました。今年は昨年よりもこどもの数が多かったこともあり、馬や悪役を務める学生の姿も目に付きました。話すことはいくらでも尽きない様子でしたが、今回は敬愛一座による公演を見ていただこうと準備していましたので、途中で切り上げて、後半は歌や寸劇を披露させていただきました。
 まずは、アカペラ班による歌です。ほとんど楽器を使わずに、口だけで音楽を表現します(一部の曲ではギターの伴奏やタンバリンを使用しました)。曲はSMAP「夜空ノムコウ」やNHKの朝ドラ「花子とアン」の主題歌だった絢香「ニジイロ」など4曲。普段からアカペラサークルで活動しているメンバーが中心だったこともあり、声量が豊かで、(多少欲目が入っているかもしれませんが)玄人はだしのなかなか素晴らしい腕前でした。
 続いて寸劇班による創作劇「梵天丸の大冒険」。創作劇と言っても「桃太郎」を宮城県のご当地風にアレンジした、わかりやすい内容のものです。おじいさんとおばあさんに拾われ育てられた梵天丸(病気で右目が見えなくなり、和尚に諭されて成長するというくだりは、某大河ドラマそのままです)が、松島の海賊退治に出かけ、おばあさんの作った絶品のずんだ餅のおかげで仲間を増やし、海賊の要塞に攻め込んだものの、あと一歩のところで窮地に陥る…というお話です。ずんだ餅を実際に食べるシーンではうまく飲み込めず四苦八苦する様子がおかしかったり、途中で台詞につまると住民の方から鋭い「指導」が入ったりと、とても楽しいお芝居になりました。
 最後に全員で「花は咲く」と「贈る言葉」を合唱して、敬愛一座による公演は終了しました。すると今度は住民の方からお礼として、「愛島ダンサーズ」による踊りと、高橋久子さん(こちらのブログを書いていらっしゃる方です)による、ご自身が作詞された閖上バージョンの「ふるさと」の紹介をご披露いただきました。時間があっという間に過ぎ去り、名残り惜しいことこの上ありませんでしたが、来年の再会を固く約束してお別れすることにしました。

8月11日(火)

尚絅学院大学訪問

市民ボランティアの方々

 最終日は尚絅学院大学を訪問し、合同ボランティア学習会に参加しました。これまでの宮城ボランティアでは、被災者の方の話を聞くことが中心でしたが、今回はボランティアに取り組んできた様々な方の話をうかがうことで、ボランティアについて考え、理解を深めるきっかけにしようという趣旨です。
 最初にお話をされたのは、尚絅学院大学の太田先生。「ボランティアはそこに必要とする人がいるからやるものであって、自分のため、自己満足のために行うものではない」という言葉が、非常に印象的でした。続いて今回も非常にお世話になった庄司先生から、尚絅学院大学や市民ボランティアの方がこれまでどのようなボランティアを行ってきたのか、教えていただきました。尚絅学院大学では毎週のように仮設住宅を訪問してボランティアを実施しており、積み重ねることでようやく住民の方の信頼を得ることができたそうです。また、将来復興住宅への移住が進めば、それまで同じ仮設住宅で生活してきた人々が別れて暮らすことになるため、仮設住宅を越えたコミュニティづくりに取り組んでいるそうです。敬愛大学の宮城ボランティアについても、一年に一度の短い訪問ではあるものの、毎年続けてきたことで住民の方が楽しみにしていると、ご紹介いただきました。
 続いて、かつて尚絅学院大学の学生としてボランティアに取り組んだ3人の卒業生の方から、いきなりボランティアをする立場になり、手探り状態で試行錯誤してきたことや、住民の方から信頼を得るまでに長い時間がかかったことなどを聞かせていただきました。
 その後で、今度は尚絅学院大学のエクステンションセンターと連携してボランティアに取り組んでいる市民ボランティアの方々から、実際のボランティアの様子を実演を交えて語っていただきました。まずはヨガ・ストレッチ教室を開いている、木村先生のお話。続いて手書きの歌詞をびっしり詰め込んだ2冊の歌本を手に仮設住宅を訪問し、住民の方と歌い続けている遠藤先生。オカリナの前奏の後で、皆で「故郷(ふるさと)」を合唱しました。カラオケ教室の講師を務めている阿部先生は、昔話の語り手としても経験豊富な方で、「目医者の話」という楽しいお話を聞かせていただきました。朗読ボランティアの菊池先生からは、震災直後の避難所でボランティアを始めた当時の苦労話をうかがいました。栄養学が専門の片倉先生からは、お手玉や新聞紙を使って体を動かし、若さを保つ方法を伝授していただきました。
 学習会の後の昼食の席では、学生たちは市民ボランティアの方と同じテーブルを囲んで、ボランティアでつながった者同士の会話を楽しんでいたようです。最後に尚絅学院大学のボランティア・ステーションを見学し、今回の宮城ボランティアの予定は無事に終了しました。

まとめ

 今年はキャンドルナイトに参加することができた一方で、語り部の人の話を聞く機会がなく、住民の方との交流会の時間も昨年より短かったため、学生たちにしてみれば少し物足りない内容だったかもしれません。けれども、実際に様々な苦労をしてボランティアに取り組んで来られた皆様から、貴重な体験談を聞くことができ、ボランティアとはどういうものかを考えるのに絶好の材料を、数多くいただいたボランティアでした。また、ちぎり絵や写真立て作り、アカペラや寸劇のために行った準備は、昨年を明らかに上回っていました。参加者の大半が一年生で、時には関係者の方にご迷惑をおかけする未熟な面も目立ちましたが、失敗を糧に来年以降成長した姿をお見せすることで、何とかお応えしたいと考えております。
(文責:大月)