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ホーム  > 国際学部だより  > Brownbag Lecture水口先生(2011年5月24日)

Brownbag Lecture水口先生(2011年5月24日)

変わりゆく中東と国際関係

今世界が注目する地域、中東の民主化と中東情勢について、中東の専門家水口先生が、本学部のブラウンズバックレクチャーで、お話し下さいました。

2008年のリーマン・ショック以降、世界潮流として、先進国と新興国間の経済力、政治力の差が急速に縮まるという現象が見られます。また、世界的な気候変動による穀物価格の上昇と相まって、開発途上の国々で経済・社会改革を求める市民の声が高まっています。中東諸国でも、そうした市民の活動が活発化し、政治改革を求める市民抗議活動へと展開しています。特に、チュニジア、エジプトでは政権が打倒され、リビア、シリア、イエメン、バーレーンなどでも政権交代を求める動きが見られます。そこで、これらの市民抗議活動で注目される点として、(1)人口構成上25~30歳の層が突出して多い国で問題が生じたこと、(2)フェースブックをはじめソーシャル・メディアによって市民活動参加者の意識連帯がつくられたこと、(3)非暴力での抗議活動というスタイルが多くの国でとられたこと、の3点が挙げられました。

21世紀の前半に起きた、このアラブ諸国での市民運動(通称「アラブの春」)は、歴史的に見ても中東地域の大きな転換点と言えます。その影響のいくつかを挙げれば、市民にとって無差別テロという暴力的手段をとるアルカイダの活動は遠いものとなりつつあるとのことです。また、第2次世界大戦後、中東地域で強い影響力を保ってきた米国が、中東地域の変化に対応しきれなくなりつつあることも指摘されていました。

今後の中東地域の変化の方向性によっては、国際社会において、国際エネルギーのみならず、イスラエルの安全保障に関連したリスクが連鎖的に高まる恐れがあります。こうした点からも、国際学を学ぶ学生諸君は、中東地域での動きを注視してもらいたいと、水口先生は力強くお話を締めくくられました。今回、中東地域を取り巻く問題が多岐にわたり、予定していた時間ではおさまりきらないほど盛りだくさんでした。昼休み開催のため、仕方ないとはいえ、時間がもっとあればと思いました。