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| 敬愛大学 第5回高校生論文コンテスト 最優秀賞 |
| 国際派キュレーターになりたい |
| 東京学芸大学附属高等学校大泉校舎(東京都)3年 古賀 彩 |
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私が将来就いてみたいと思っているのはキュレーターという仕事である。キュレーターとは芸術家が個展を開く際に作品の展示方法等を工夫し、その個展またはエキシビションをより盛り上げられるようプロデュースを行う職業である。そのため、芸術家と作品が注月されるかどうかの大部分がキュレーターの腕前にかかっていると言っても過言ではない。 私がキュレーターという仕事を知り、関心を持ったのは、村上隆氏の書いた「芸術企業論」という本を読んだことがきっかけである。幼い頃から絵を描くことが好きで、美術系の職業に興味があったことも事実であるが、村上氏の本を読み芸術に対する考えが大きく変わったことで、私の美術に対する関心はさらに深まっていった。 村上氏は一作品を一億円という、日本人では史上最高額で落札させた事で有名な芸術家である。以前から私は、日本の美術をもっと世界に広めたいという考えを持っており、何故海外で活躍できる日本人の芸術家が少ないのか疑問に思っていた。それまで言葉の壁が一番の要因であると考えていたのだが、この本を読み、どうやら原因は言葉だけではないことがわかったのである。 まず、日本人の芸術家が海外で実力を発揮しにくいのは、欧米の美術業界のシステムを理解していないからなのだという。現在、芸術の権威はニューヨークやパリにある。そこで美術は日本における音楽と同じようにビジネス化されており、作品は消費者のニーズに応えたものである必要がある。更に、その作品が美術史の中で明確な位置づけをできることも必要条件である。美術品とただの「モノ」の境界線が曖昧な日本に対し、欧米の消費者や美術評論家は、美術史によって説明できるかできないかの違いで美術品と「単なる物体」を区別するのだそうだ。 つまり、日本美術の価値が海外で認められるには、第一に製作者が美術史を詳しく理解する必要がある。これは単に作品を印象派だ、ホップだ、などと位置づけするために限らず、新たな作品製作につながるヒントを得るために必要な工程である。第二に、美術史から得たヒントを独自の方法で再構築する。既存の概念から新しい芸術を編み出すことは模倣とは違う。実際、岡本太郎の「太陽の塔」は、縄文時代の古美術と近代の抽象派の融合なしには誕生し得なかった作品である。第三に、作品の持つ意味を英語で説明する必要がある。この時に作品の内容を異文化に住む人々にも的確に理解してもらうためには、説明する言葉の選択が極めて重要である。以上3つの工程を行う芸術家をサポートするのがキュレーターの役目である。特に作品について英語で説明する場合、通訳はもちろん、個展を開く場所によってその土地の人々に受け入れてもらいやすい展示方法を工夫することも必要不可欠である。 欧米の美術事情に関して、はじめは自分の作品であるにもかかわらず他人の要望に応えなければならないというシステムに窮屈さを感じた。しかし読み進めるうちに、この考え方は芸術の新しい楽しみ方なのではないかと考えるようになった。それどころか、私の今までの芸術活動が無意識のうちにこのシステムに沿っていた事実に気付いた。先ほど、私は幼い頃から絵を描くことが好きだったと述べたが、同じ絵を描くことでも二通りに分かれている。一つは自分の好きな絵を一人で自由に描く場合であり、もう一つは誰かから頼まれて絵を描く場合である。誰かから頼まれて絵を描くことは、自由の代わりに完成した作品を見て喜んでもらうことのやりがいを感じられる。キュレーターのサポートによって、日本人の芸術家にも海外でそのような活動が可能になるのであれば、それはとても喜ばしいことである。 日本美術には浮世絵から漫画・アニメまで様々なジャンルがあるが、それらの持つ意味をきちんと説明できれば、どこの国に住む人にも理解してもらえると私は考える。その証拠に、村上氏は良い通訳とキュレーターを雇うことで、日本人ではなくアメリカ人の老夫婦に自分の作品を高額で買い取ってもらうことに成功したのである。海外で日本美術の魅力が理解されれば、その経済効果は測り知れない。例えば過疎化の進む地域で個展を開けば世界中から観光客が訪れ、その観光収入によって地域の財政復興が期待できる。芸術とは決して個人主義的なものではなく、多様なアイデンティティを持つ人々と共有されてこそ価値を持つものである。 製作者が自分の個性をわかりやすく説明し、作品によって社会貢献ができれば、日本人の芸術家が世界でもっと活躍できるようになる日はそう遠くないと思う。私はキュレーターとして彼らをサポートすることに強い魅力を感じるのである。 |
| お問合わせ 敬愛大学高校生論文コンテスト係 |
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