国連大学セミナー ~国連大学グローバルセミナー~
湘南セッション
―「いちょう団地」と外国人―
小舘  敦

 9月2日から6日までの5日間、私は国連大学グローバルセミナー湘南セッションに参加した。今年のテーマは、「人はなぜ国境を越えるのか」という事だったので興味があった。

 国境を越える人の中には難民、移民がいる。移民の定義は次のとおりである。「故郷」の人間集団とは異なった価値と文化と社会編成をもつ人間集団のいる所への大量かつ組織的な移動、である。

 難民、移民と言うと、私達にはあまり関係がないと言う人がいるかもしれないが、例えば昭和59年の外国人登録者総数は約84万人だったのが、平成13年には約177万人と、約20年間で2倍強増えているのである。そして不法残留者数も平成2年には10万人だったのが、平成13年には23万人と、これもまた2倍強増えていて、最近ではピッキングによる外国人窃盗団も増加しているのは記憶に新しいところである。

 外国人登録者数が増加している中で、将来の日本の縮図が、もしかしたら「いちょう団地」にあるかもしれないと思った。「いちょう団地」を説明すると、中国、ベトナム、カンボジア、ラオスなど母国の政治的理由から移住してきた家族たちが多く住んでいる所だ。近くにある「いちょう小学校」は、全校児童の3割が日本語を母国語としていない子どもたちだ。やはりそれだけ色々な外国人が住んでいるので、多くの問題を抱えている。

 私が講義を受けて印象に残ったのは、ゴミを分別しないで窓から投げ捨てる人や、団地の前の空き地で夜遅くまで歌いながら飲んだりする人達がいることだ。これには驚いた。日本の習慣とはかけ離れた行動だが、よく考えてみると、外国(日本)の習慣を知らないからで、悪意は無いのかもしれない。

 外国人はその国の(人たちの)輪に入りたくても、その国の言葉を話せないからますます孤立してしまう傾向があるみたいだ。

 外国人の人たちに日本人としてできることはないだろうか。日本語教室を開いて日本語を教えるのは勿論のことだ。外国の人々の習慣を学びお互いに交流しあっているのが、「いちょう団地」多文化町作り工房というグループだ。このグループを形成しているのは早川さんという人だ。こういうグループが増えれば、ますます日本の国際化も進むだろうと思う。


▲ もくじに戻る ▲