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2011年度 第1回 ゼネコン業界(通算1回)

 奈良建設株式会社 仲里一郎様
大学を卒業後、奈良建設に入社。高速道路を建設するなど土木技術職として経験を積んだのち、営業職、人材開発部、プロジェクト推進に携わる。その間、二度の出向で得た知識と人脈を生かし、3年前に独立。現在は「安心・安全・本物の食材」を提供する、大喜コーポレーションの代表取締役。

過去の自分からのメッセージ

「みなさんは真っ白なキャンパス。将来、こんな社会人になりたいというロマンを持つことは、今しかできないことです」
 仲里さんが力強くエールを送るのには理由がある。33年務めた建設会社を退社した3年前。新入社員のときに自らかかげた“人生の抱負”を読む機会に恵まれた。
『建築現場で経験を積み、いつかは営業職になって様々な人と出会い、もまれることで“幅のあるビジネスマン”に成長したい』――22歳当時、漠然と思い描いた抱負と、自身の建設マン人生を重ね合わせ「その通りになるものだ」と実感したという。
 実は、入社した会社は第一志望の業種ではなかった。仲里さんは大学で学んだ知識を生かし、海に関わる建設会社を希望していたが、結果は「あちこち試験を受けたんですが、全部落ちました(笑)」。なぜなら、時代はオイルショックによる景気縮小の波が押し寄せ、空前の大不況!! ようやく第二次募集で奈良建設に採用された、とあれば仕事へのモチベーションを高く保つのは難しそうだが?
 「だからこそ“自分はこんな社会人になりたい”というイメージを描くことが大事。いくら給料が良くても大企業でも、働き始めると誰しも“こんなはずじゃなかった”と現実にぶち当たります。そうなったら、もう夢なんて描けない。学生の時期にこそ、漠然とでもいいから未来の自分のイメージを描いておくと、心が折れそうになったときの支えになってくれます」

石の上にも3年

では仲里さんが目指し、行きついた“幅のあるビジネスマン”とは? その答えを紐解くキーワードは“3年”だ。入社して1年で辞める人、半年で辞める人、なんと研修期間中に辞める人も少なくない就職の現実。仲里さんも例にもれず、1年目にしてギブアップ寸前に……。そこで踏みとどまったのは「入った会社には、なにかの縁がある。3年間我慢してみよう」という発想の転換!! 3年が経った頃には、仕事にやり甲斐を感じていた。

 もうひとつの“3年”は30代半ばの話。仲里さんが働いていた建設会社=ゼネコンとは、ビルや高速道路を造る請負専門の業者で、プロジェクトの初期段階から関わるのは非常に珍しい時代だった。にも関わらず、横浜博覧会の開催に向けて、企画考案から参加するよう出向を命じられた。そこには海外経験豊富な異業種の人々や役所勤務の人間など様々な顔ぶれが。「お互いの価値観も違えば、専門用語もわからない。まるで異民族と話をしている気分」だったというが、苦難を乗り越えたのち、異民族だと思えた人々がみな友になっていた。

 最後の“3年”は退社するまでの3年。ここでの経験が、仲里さんが独立した理由につながっている。
「プロジェクト推進部の部長時代に、会社を説得し、神奈川県で水耕栽培をする子会社を立ち上げました。ようは、野菜を作って売る。建設業が農業!?と思われそうだけど、建物を造って、お客さんに『はい、どうぞ』と渡すだけでは建設業の未来はないと思い、その建物のなかで生み出せる商品=無農薬の野菜という点に着目してみたんです。休日を返上して、デパートの食料品売り場で試食販売もやりましたよ。エプロンつけて(笑)。その3年間で“食”の業界により魅力を感じて、退社を決意したんです」
“幅のあるビジネスマン”とは、どんな状況でも道を切りひらいていける、柔軟性を持った人のことなのかもしれない。

垣根をぶっ壊す!!

現在、横浜・馬車道で人から人へ、安全安心を届けるマルシェ(市場)形式の野菜販売を営んでいる仲里さん。今では作り手とお客さんが対面して野菜を売り買いするだけにとどまらず、“食と健康セミナー”を開催するなど、人と人を結びつけるコミュニティの場として地域の人に愛されている。ある日には、こんな出会いが。
「40代のご夫婦が、えらく私の仕事に興味を持っているから『おたくは、どんな仕事をしているんですか?』と聞いてみたら、すぐ近くのビルのなかでLEDを使って野菜を作る研究をしてるって。それは、おもしろい!ってことでその野菜をうちのマルシェで売ることにしたんです。すると、お客さんの反応は上々で」
 仲里さんは思いついた。LEDの装置を幅広く販売し、会社の建物内で余ったスペースを農場にしてしまおう!! 手始めに古巣・奈良建設のロビーに設置し、収穫した野菜を馬車道で販売してみると、当然、この時代に完全無農薬で食べられる野菜が人気にならないわけがない。奈良建設出資のもと子会社を設立し、今ではなんと建設マンがLED装置を販売するようになった。建築は建築、食は食ではなく、業界と業界の垣根を壊すことでビジネスチャンスは無限に広がっていく。

 「“おもしろきなき世をおもしろく”。幕末の革命児と言われた高杉晋作の言葉のように、時代が悪いから私たちは不幸なんだと思わず、こんな時代だからこそ自分自身の人生がおもしろくしてやるぞ!という気持ちで、真っ白なキャンパスを描いていってほしい」
 かつては真っ白だった仲里さんのキャンパスは、今、とても色鮮やかに違いない。

>>2011業界研究 第2回 精密機械メーカー