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2016年度 第12回 広告業界(通算82回)(平成29年1月26日)

講義風景

佐々木 弘様  
  
  ㈱フィスコダイヤモンドエージェンシー代表取締役

テーマ:広告会社概観

◆現在の広告代理業とは

広告代理店の広告代理とは、メディア(媒体社)の代理であると同時にクライアント(企業)の代理という2つの役割を担っている。もともとは媒体社の代わりに、媒体が多くの企業と取引できるように媒体の情報に精通し媒体社の代理という側面が強かったが、メディアに限らず企業課題に合わせた提案が増えるに従い、結果的にクライアントの代理機能が強まってきている。
 媒体広告代理店はその役割やルーツから、①総合広告代理店、②ハウスエージェンシー、③専門広告代理店と分類されることもある。
  ①電通や博報堂、アサツーDKといった広告会社は、広告に関するあらゆるサービスを行っており総合広告代理店
   と呼ばれるが、大手に限らず総合的なサービスを自負している広告会社は多い。
  ②ハウスエージェンシーは、JR東日本企画やNTTアド、小田急エージェンシーのように所属するグループ会社が
   保有するメディア売買をサポートしたり、グループ各社と顧客とのコミュニケーション活動に寄与することが出発点
   となっている。
  ③専門広告代理店は、現在でいえばネット専業代理店のように、得意のメディア領域を持って活動している広告
   会社であるが、サイバーエージェンシーのように、ネット系の代理店はここ10年ほどで急激な成長を遂げている
   専業代理店である。従来からの屋外広告を得意する代理店も専業代理店に属する。
しかし、上記の分類は成長力や企業としての安定性の指標となるものでもなく、マスメディアのパワーが弱まり、広告市場全体として横ばいないしは微増という環境下では、従来型の広告代理店は競争力を失いつつあるのが現状である。マスメディアからインターネットを媒介としたオンラインメディアにコミュニケーション活動はシフトしており、その意味ではネット専業の代理店の成長は今しばらく続いていくと思われる。

◆広告代理店のビジネスモデル

広告代理店が提供する基本的なサービス(商品)は、媒体の広告枠(紙媒体であればスペース、電波であればタイム)の売買とクリエイティブ(広告制作)の販売の2つである。前者は売買価格の15%とか20%というコミッションを収益とするビジネスであり、後者は他にはない広告表現を創り出し、その付加価値を販売するもので、メーカーのようなビジネスである。イベントの運営等もサービスのひとつであるが、クリエイティブな感性をベースにしたコーディネートやディレクションに基づいた複合的なサービスで構成されている。それを含めても大まかには、媒体コミッションとクリエイティブ収益がビジネスを成立させる基本モデルとなっている。
 しかしこのモデルも古くなりつつある。メディアパワーが弱まりかつ競争が激化するなかではマスメディアの販売価格は低下し、コミッション率も低下せざるを得ず、十分な収益を上げることは出来なくなってきている。しかも成長力のあるオンラインメディアにしても、実際のところは細かな作業の積み重ねで構成された案件を数多く獲得することで広告扱い量(金額)を稼ぐようなもので、企業にとって適正な人件費との見合いで考えたら収益力があるものとは言い難い。おそらく今後はテクノロジーを背景にして各種のビッグデータと組合せたマーケティングオートメーションの領域で独自性をもつ企業が広告業界を牽引していくと思われる。ブラックボックスとなるマーケティングオートメーションサービスが高い付加価値を持ち、システム使用料が収益の柱となり、それらの広告表示にあわせたクリエイティブの収益がプラスされるようなビジネスの方向とコンサルティングとディレクションに徹したビジネスの方向が考えられる。

◆広告代理店の仕事

標準的な広告の仕事では、「営業部門」、「クリエイティブ部門」「マーケティング部門」「セールスプロモーション(SP)部門」「メディア部門」の5分野のメンバーが広告を作っていく。クライアントのニーズや望む方向性を「営業」担当が把握し、スタッフのベクトルを合わせた上で、競合環境等のマーケティング上の視点とあるべき方向性を「マーケティング」担当に、クリエイティブの方向やアイディアをクリエイティブスタッフと、キャンペーンやイベントのアイディアや運営をSP担当と、コンセプトや戦略にあったメディア計画を「メディア」担当と、個別にまたは全メンバーとのミーティングと計画作成・制作を重ねながら、提案する内容を形作っていく。
 さらに必要に応じて、外部の制作会社(グラフィック系、映像系、デジタル系等)やカメラマン、モデル事務所、イラストレーター、イベント会社、調査会社、印刷会社などの協力を得て進めていくものである。外部に対して広告会社は、社内でまとめたコンセプトや方向に沿ってディレクションするのが通常である。
 多くの人間がかかわりながら、キャンペーン計画を立てたりするが、そのためのTVやネット等の広告やツールを作り上げていくだけに、そのコアとなり全体の進行管理・情報管理をしていく「営業」は大変重要な役割を担っている。それだけに面白いとも大変とも言える仕事ではある。

◆広告会社を取り巻く環境

横ばいが続く広告市場では次のような環境変化と課題がある。1)人口減による消費市場の縮小 2)マスメディア4媒体の広告費減少とインターネット広告へのシフト 3)アドテクノロジーの急速な進化 4)テクノロジー系人材不足 5)コンサルティング等異業種の参入 6)コスト競争の激化 7)海外特にアジアへの進出 である。この変化に対応すべく新しいビジネスモデルの構築、デジタル/ネット人材の育成、投資対効果の明確化、新市場の開拓が目下の課題であり、成功のチャンスが眠っている部分でもある。

◆いまどんな人材が求められているのか

変化の幅が大きい現在、以下のような人材が求められる。1)自ら考え、提案していこうという意欲を持った人材2)マルチな視点、豊かな発想を持つ人材3)全体を俯瞰してプランを考えられる能力を持った人材4)デジタル、ネットメディアに対する志向性の高い人材5)細分化するデジタル/ネット商品を作り出せる人材などである。
以上のような状況が広告会社の概観であるが、どの業界で活躍するにしても漠然と仕事をしていくのではなく、近未来の自分の姿を深く考え形作っていくことで、自らすべきことが見えてくると思われる。「果たして10年後の自分は」をぜひ考えていただければ幸いである。