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2016年度 第1回 自動車業界(通算71回)(平成28年9月29日)

井上 史男様  元日産ディーゼル(現 UDトラックス)執行役員常務(1999~2003) 
        元中部日産ディーゼル 社長(2004~2007)


テーマ:自動車業界(大中型トラック)における営業に必要な知識・スキルとは何か

講義風景

まず、講師が営業を担当していた2000年初頭の業界の動向、企業の経営環境を説明した。その中で実際に行った営業活動の経験に基づき、営業に必要な知識・スキルを導き出した。合わせて、講師が日産ディーゼルに入社してからたどった各部門の仕事を通して習得した知識・スキルを検証し、営業活動に生かしていった足跡を紹介し、講義テーマを裏付ける内容とした。

◆2000年初頭の大型トラック業界の動向

高度成長時代に拡大を続けた普通トラック(積載量4t以上の大中型トラック)の国内需要は1990年の19万台をピークに、その後減少の一途をたどり、2000年には8万台とピーク時の半分以下に落ち込んだ。国内に4社ある大中型トラック企業は軒並み企業収益を悪化させる中で、1台でも多く販売し、企業収益を確保せんとする販売競争は激烈を極めていた。一方で大きな社会問題となっていたディーゼルエンジンの排気ガスをよりクリーンなガスとするための排気ガス規制は、厳しさを増し、特に2005年実施の新長期規制は、これまでの延長線上の技術では対応できない厳しいレベルであった。排気ガス規制はトラックユーザーにも混乱をもたらし、いつ新車に代替えすることが望ましいか、新車購入費用が拡大する中で、厳しい選択を迫られていた。

◆日産ディーゼルの厳しい経営環境と企業再建

国内需要の激減の影響を大きく受けた日産ディーゼルは1990年代後半になり企業損益、財務体質は債務超過寸前の状況であった。99年企業再建策を公表し、本格的企業再建に取り組み始めたが、その渦中でも排気ガス規制をクリヤーできるエンジン開発と、それを搭載した新型車の拡販は、企業再建のカギを握っていた。また、販売会社の財務体質改善も日産ディーゼル全体の財務体質改善のためには避けて通れない大きな課題であった。
 このような社会的環境、企業環境の中での営業活動は、これまでと同じ取り組みでは成果は期待できず、営業活動を大改革し、かつ、企業の経営再建にも結び付く取り組みが求められていた。

◆当時の経営環境下で営業に求められた知識とスキル

 ① 大中型トラックは投資財、稼げるトラックを求める顧客に商品提案ができる豊富な商品知識
 ② 顧客の業務内容(運送形態、取扱い荷物)に適した商品開発への情報発信
   単に出来上がった商品を売る営業ではトラック販売の営業は成り立たない
   開発や工場との連携で顧客ニーズに相応しい商品を開発提案していく力が必要
 ③ トラックの排ガス規制を正確に理解し、顧客にアドバイスできる説明力、信頼力
 ④ 顧客企業の経営状況を把握する力と情報収集能力(与信管理、債権管理は重要)
 ⑤ 積み荷の確保、紹介ができる力(未納顧客攻略に大きな力)
 ⑥ 顧客把握力・信頼される人柄

◆日産ディーゼルの再建に営業が主導し成果を上げた2つの施策

 ① 自社割賦販売の中止
   顧客に販売資金を貸し付け、5年60回割賦で返済を求める仕組みであるが、有利子負債の増加と不良債権
   発生のリスクを持つ制度。2001年中止を決断。これによりグループ全体の財務体質は飛躍的に改善し、
   企業再建の柱となった。
 ② 新大型車クオンの拡販
   厳しい排気ガス規制をクリアーした画期的な新エンジンを搭載した新大型車を全社の力を総動員し、これまでと
   は違う販売活動で拡販に結びつけた。

◆講師の職務経験で培った知識・スキル

 ・人事部門では会社の組織構成を把握、また人を動かす行動科学や意欲管理を習得
 ・部品・資材を購入する購買部門では、買う立場ながら部品メーカー、資材メーカーの営業から一流の営業活動を学
  ぶ。また、取引先の経営状態を常に把握しておく立場から企業会計、経営分析など勉強。さらに新製品開発に購
  買の立場で参画し商品知識を身に着けた。
 ・数多くの仕事を経験する中で、業務改革と関連部門を巻き込むことの重要性を認識、営業活動でも実践できた。
講師が数多くの仕事の経験から積み重ねてきた大中型トラック販売に必要な知識・スキルを説明した。どの業界でも営業職は幅広い知識と数々のスキルを求められると思うが、皆様が企業人になって、初めて仕事に就いた時、まずはそこの仕事の中身をしっかり理解し、必要な知識を学ぶことが重要です。部署を異動したらそれを繰り返す。こうして幅広い知識、スキルを習得していく。経験を重ねたら改革に立ち向かう気概と関連部署を巻き込む動きも忘れてはならない。