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2013年度 第12回 飲料業界(通算40回)

神山 利 様

大学卒業後、アサヒビール株式会社 入社
東京大森工場配属、その後製造、営業、物流、
総務部門等を経験し、
株式会社アサヒ流通研究所 代表取締役
アサヒビール株式会社 理事

ビールのマーケティングと営業

ビール業界について

 それでは、最初にビール業界の話をさせていただきます。ビールの売り上げの推移を見てみますと、昭和20年代~30年代は年平均2桁の伸び率でした。昭和40年代は年平均6%、昭和50年代には年平均2%と伸び率は鈍化してまいりました。
 その後、昭和62年のアサヒビールからのスーパードライの発売で、平成6年までは年平均5%の成長をしましたが、平成6年をピークに減少しております。今後の人口減少を考えると,過去のような増加は難しいのが現状です。
 現在、国内は実質4社(アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー)体制となっています。 ビールの流通過程ですが、ビールメーカー(5社)⇒特約店(約600社)⇒酒販店(15万店)⇒(料飲店(約60万店))⇒消費者となっています。
 流通過程を考えるうえでは、いわゆる町のお酒屋さんは減り、代わって「スーパー」「コンビニエンスストア」が主流になってきています。料飲店も同じで、個人経営からチェーン店経営のお店が多くなってきています。それによって、ビール会社の営業も変化が求められています。
 また、世界のビール市場を見てみますと、中国・中南米・アジア・アフリカでの消費量が増えています。(ドイツ、アメリカ、イギリス等は日本と同様減少傾向)

アサヒビールのこと

 アサヒビールは昭和24年に創立、その当時はアサヒ、サッポロがそれぞれ37.5%、キリンが25%でした。その後、キリンのシェアは60%を超えるまでになり、アサヒのシェアは9.6%にまで落ち込みました。
 その時、これまでと同じことをやっていては駄目なのだということが皆の中にあったのだと思います。そこで新たなマーケティングビジョンを立てたわけです。2つの仮説を立てました。

1.ビールのうまさの判断基準は時代とともに変化する
2.お客様はビールの味がわかる 

という2つの仮説です。
 
そして5,000人の消費者調査を行い、お客様は「苦くて重いビールから、のど越しの良いすっきりした味わいのあるビール」を求めているという結論を得、各工場にそのコンセプトに合ったビールを試醸してもらい、これだというビールにたどり着きました。昭和62年、コクがあるのにキレがある「アサヒ生ビール」として発売をしました。
 新しい味ですから、皆さんに先ずは味わってもらわなければいけないということで、全社員総動員で100万人の試飲キャンペーンを展開致しました。
 その結果、その年売上は12%増となり、シェアも10%台を回復することが出来ました。スーパードライを発売したのは、その次の年です。お客様はもっとキレの良いもっとドライなビールを求めているということから、スーパードライを発売したわけです。売り上げ目標は年間100万函でしたが、その年の売り上げは1350万函となり、その翌年は各社こぞってドライビールを発売(ドライ戦争と呼ばれる)しましたが、スーパードライは7500万函を達成、その翌年には1億函を突破することになりました。
 発売して数年たち売り上げも踊り場を迎えましたが、新たな付加価値をつけようということで「鮮度」を追及しました。ビールは新しい方が美味しく、日が経つにつれて徐々にですが味も劣化してきます。新しい価値を創造できたわけです。そして現在に至るわけですが、今も更に新しい価値を提案することを続けています。

ビールの営業マンの仕事とマーケティング

 ビールの営業マンの仕事はどんななのかを見てみましょう。
飲料店担当者も、スーパーマーケット担当者どちらも、販売データは必要ですが、現場を見てお得意先と会っての商談が主な仕事になっています。現場からお客様情報を読み取ることが欠かせません。どちらもとても地道な活動です。
 海外での販売促進も欠かせません。特にこれから伸びるであろう「中国」「中南米」「アジア」「アフリカ」が主要な海外市場になってくることでしょう。環境への取組みも大切です。環境問題は社会的にも大切な課題です。

 アサヒビールにとってのマーケティングミックスを考えて見ます。
1.Product(Customer Value) 
 新しい価値を絶えず創造し提案することが大切です。そのためには、お客様の声を絶えず把握することが大切です。
2.Price(Cost) 
 価格とは関係なく,品質とサービスは向上させることが大切です。
3.Place(Convenience) 
 酒販店ではお客様が手に取りやすいところに商品を配置すること、料飲店での取扱いを増やすことが必要になります。そのためには「地道な営業活動」が欠かせません。
4.Promotion(Communication) 
 商品の価値を伝えることと同時に企業の価値を伝えることが求められています。

 これからはビールを中心にしての総合酒類・飲料会社としての成長が必要ですし、国内だけでなく海外での販路の拡大が求められています。そして、企業価値の向上を考えていかないと企業は社会からは認められません。
食の安全・安心、健康への貢献、環境への取組み、社会への共生はもとより、社員の価値創造が求められています。企業は人なりと言われています。どんなにデジタル化が進んでも、企業を創造していくのはそこに働く社員です。これを忘れてはなりません。

心掛けたいこと

 企業は絶えず新たな価値を創造していかなければなりません。お客様が何を望んでいるかを見極めることが必要です。そのために大切なことは
 ●今までの枠にとらわれない発想が大切です。
 ●色々な分野に「興味を持ち」「学ぶ」ことが発想を豊かにします。
 ●現場に解決のヒントがあります。困ったら現場に。
 ●個人の力には限界があります。チーム力が大切です。
 ●仕事は基本に忠実に。
 ●どんなにデジタル化が進んでも,アナログ発想を忘れないように

 最後にもう一つ、社会人になれば色々な人に出会うと思います。その出会いを大事にするために、出会いの後、直ぐに直筆で手紙を書くことをお勧めします。メールではなく。

最後までお聴き頂き有り難うございました。皆さんの大きな飛躍を祈っています